novel
□予感
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いつか私が、こんな風に何も説明できなかったとき、彼は
『まぁ、お前のことだから大丈夫だろうけどな』
と言った。
『心配してねー訳じゃねーけど』
とも。
私は、きっとそんな風に言ってもらえるのがいちばんうれしい。
信頼から出る言葉と、受け取れなくもないから。
かと言って、いつまでもこのまま何も言わずにはいられないだろう。
私は、彼に
私のことをもっと知って欲しいと思ってしまっているから。
悔しいけれど、
そういうことなのだと、
思う。
「シカマル」
そのときの私は、
どんな顔をしていただろう?
シカマルは、正面の子供たちを見ているから、
分からなかったと思うけれど、
なんとなく変な顔をしていそうだったから、
助かったな、と思う。
そして私もまた、前を向いたまま、
(今の私には、私の明日すら見えない)
という話をした。
シカマルは何も言わず、ただ、聞いていてくれた。
何を思っていたか、
私は知らない。