novel

□mirror
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さっきの続きを、言わなくてはいけない。

『ひとりで背負いきれないほどの重いものなら、』

「私も、一緒に背負ってやるよ」

「・・・」



我愛羅は、一瞬顔を上げて私を見たけれど、すぐにまた下を向いてしまった。

それでも、小さく頷いたのが分かった。



「今、分かった」

未だに私の腕の中にいる弟は、言う。

「俺は俺以外の人はみんな強いと思っていた。
それが何故なのか」

「うん。何で?」

「最初から強い訳ではないんだ・・」



私の問いには答えず、遠い目をして、そう言った。



そうだよ、我愛羅。

でも、きっと、

「弱くてもいいんだよ」

それを我愛羅に言ったのか、私自身に言ったのか、定かではないけれど、
言いながら我愛羅の背中を軽く2、3度叩いて、回していた腕を離した。

とても名残惜しかったけれど(こんなことは、この先もきっと滅多にないだろうから)。






「テマリ」

呼ばれて、目線だけで返事をする。

「俺は、風影だから・・弱いという訳にはいかない。
だけどもし、また立ち止まりそうになったら、そのときは―――」



そうやって肝心なところを言いにくそうに口ごもるところ、
どこかの誰かに似ているような。

血は争えないな、なんてそんなことを思うと、とても可笑しくて、愛おしい。

私は、

「いつでもおいで」

とだけ言った。










気づけば、
明日の不安なんて消えていた。

どちらが助けられているのか分からないな、と思いながら、
我愛羅には聞こえないくらいの小さな声で、



”ありがとう”



と、言った。






end
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