novel
□dessin
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それは決してことばにすることはないだろう。
私の魂の奥にある、熱いとも冷たいともつかない得体の知れないもの
私自身にもさわれない
深く、深くに
ただ、やけに苦しくて、
たとえば私はこの世界にたったひとりだと思うと、視界は白く大きくなってゆく。
子供の頃、砂漠の真ん中でひとり空を見上げては吸い込まれると感じたそれに似ている。
無重力が私を呼んでいるよう。だけど重力は私を引き止める。
それが一体なんなのか、分からないままでいいと思っていた。
私にとって、無知なのと同じくらいに、知り過ぎるのは怖い。
(私には必要ないと思ってた)
「なにが?」
隣を歩く男が、足を止めて声を上げた。
私が止まることはなかったが。
しかたなくまた歩きはじめた彼の気配を背中に感じながら、私は願う。
決してことばにすることはないだろうけれど、
ふれられるのは、きっとこのひとだけだから
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補足・・
絶対にどんな人にだって見せない部分とか、私はあって当然と思うのですが、なんとなく、良い意味で踏み込んできてくれる人を待ってるみたいな、そんな感じで書きました。
記録的な短文でした;