novel

□スピカ
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『スピカ』









今日は、約束の日ではなかったはずだ。



俺は任務から帰ったばかりの汚れた格好のままテマリと偶然出会った。



見れば、そのひともまた、
俺と同じように汚れた忍装束を着ている。



「なんで、ここにいるんだよ」



という俺の言葉をどういう風にテマリが受け取ったのか、
表情で察する。



「あー・・別に変な意味じゃなくてさ」



「任務で木ノ葉付近まで移動することになった。だから寄った」



不機嫌ですと書いてあるような顔でそう説明する。

こういう顔をするとき、本当は大して怒ってはいないということを、俺は知っていた。



「仲間もいるから、もう行く」



「え、おい」



そう言って、横を通り過ぎて行こうとするテマリを、引き止めてしまって気付く。



何の用事もなく引き止めていいような、関係だろうか、俺たちは。



それなのに、テマリは足を止める。



そして振り返って、俺の次の言葉を待っているようだった。









 
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