novel
□illuminate
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『illuminate』
思えば、私とあいつは似ている。
似ているからこそ、うまくいくこともあれば、その逆もある。
私たちはお気に入りの場所のようにお互いを求めていたけれど、
それ以上でもそれ以下でもなく、
言い方を変えれば、空気のように存在した。
そして、きっと、その”逆”が、私たちを邪魔したのだろう。
私は何も考えることができなくて、遠くの空を見ていた。
たぶん、彼も同じ空を見ているのだろうと思いながら。
私たちは、似ているから。
最後に交わした言葉はひどく素っ気ないもので、なんだかおかしくなる。
何事もなかったかのように、いつもと同じように、
『じゃあな』と言う。
またいつか、と出かかった言葉を飲み込むのは、私には慣れたことだった。
ほんとうは期待していたのに、
お互いがひとつ前に進むだけで同じ位置に居ることができたかもしれないのに、
今までの空気のような関係を壊したくなくて、それができなかった。
私が、木ノ葉に行くのは、
その日が最後だった。