novel
□予感
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『予感』
(今の私には、私の明日すら見えない)
そんなことを、考える。
これでも小さな頃は、漠然と未来に対して考えを持っていたし、希望というものもあった。
それが今では、遠い未来のことは疎か、
明日のことだって、何も見えて来はしない。
だから私は、小さな頃に戻りたかったのだと思う。
木ノ葉のアカデミーに通う子供たちは、私の同じ年の頃なんかよりずっと、目に光を宿している。
私はそれを、シカマルと一緒に見ていた。
見学させて欲しいという唐突な私の申し出を、木ノ葉側は快く受け入れてくれた。
その仲介を頼んだシカマルが、やっぱりそのまま、案内役として同行してくれることになった。
「今さらなんだけどさ」
隣に立っている(演習場に座れる場所なんてないから)彼は、
私の方を見ずに言った。
「なんで、アカデミーなんだよ」
「え」
私は、何と説明しようか悩んだけれど、
「ちょっと昔を思い出したくなった」
とだけ、言った。
もちろん、シカマルがそれで納得しているとは思わない。
彼はいつも、私がほんとうのことを言っていないのを分かっていて、
それでも何も言わずにただ待っていてくれるから、
何とかして伝えようと思う。