novel

□fantasy
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『fantasy』





「何か、普通になってきたな段々」



後ろから聞こえてきた声に、私は振り返らずに言う。

「何が」


「お前といるのが」



私は、足を止めた。


小さく風が吹き過ぎる。



追い付いてきた彼の横顔に、

「どういう意味?」

と問う。



(ほんとうは、私もそう思うけど)



もしかしたら、少し、期待していたのかもしれない。


期待。


何に。



彼は曖昧に笑って、

「分かんねー」

と言った。










その後の道は、無言で歩いた。


道が分かっているときには、いつも私の少し後ろを彼が歩く。



何も言わずに時間を共有できることが、
彼の言う『普通になってきた』
だろうか。



それだけではないと思うのは、
私の勝手な思い上がり?




強い風が、私と彼の間を通り抜けた。









 
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