最遊記〜旅立ち編〜
□*絡み合う歯車*
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「…」
妖怪に囲まれてしまっている一人の者…。
そのものは頭から足の先まで薄汚れた羽織物を被っていた…。
まるで、自身の姿を隠すかのように…。
「早く始末しちまおうぜ!」
妖怪たちが騒ぎ出す。
が、その者は妖怪を前に怯えることなく、ただ、その場に立っていた…。
妖怪の一人が死角から襲いかかろうと刀を振り上げ、突っ込んで行く。
―――しかし、妖怪がその者の体を傷つけることはできなかった…。
なぜなら、その者はもう地にはいなかった。
妖怪の攻撃を受ける瞬間、地を蹴り、宙に舞っていた…。
そのまま反転し、妖怪の後頭部を蹴り、気絶させる。
そして、着地と同時に回し蹴りをし、自分の後ろに立っていたであろう妖怪が次々と倒れていく…。
「このヤロー!野郎ども、かかれ!!」
妖怪たちが一斉に襲いかかる。
その妖怪の攻撃をはらりはらりとかわしながらも、一体一体、確実に倒していく…。
さすがに敵の数が多く、疲れが見え始め、その者の動きが鈍くなってくる…。
その好機を妖怪たちが逃すわけがなく、一人の妖怪が突っ込んで行く…。
―――しかし、倒れたのは妖怪のほうだった…。
その者は、二本の短刀の鞘を抜かずに操り、峰打ちで妖怪たちを気絶させていく…。
その者がもう一度宙に舞った瞬間、頭にかぶっていたフードらしきものが取れ、金色の髪が姿を現した…。
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