最遊記〜旅立ち編〜

□*外れてしまっていた歯車*
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 ふと見ると河沿いに桜の樹が在った。

「桜…か」

桜を見ていると、いつも満月に見る夢を思い出す。

『銀色の髪に深い青藍の瞳を持つ少女と金色の髪に深い紫暗の瞳を持つ少年が、河沿いの桜の樹の下で手を繋いで幸せそうな顔をして夕陽を見ている』

この夢を見ているときだけは、嫌なことを忘れて、何故か懐かしい気持ちで居られた。
だけど…

“この子たちは誰”

そんな疑問が、自分の中で渦まいていた。
そして、もうひとつ。
この夢の中で、ずっと誰かに呼ばれているような、そんな感覚を最近覚えた。
それは声にならない声で、何を言っているかは理解できない。
でも、その声に

「(ここにいるよ…、待ってるよ…)」

と、答える自分がいた。


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