最遊記〜旅立ち編〜

□第1話
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天上界


「長安の三仏神からの御報告が…。下界にて、三蔵一行を西へ向かわせたとのことです…とうとう動き出してしまいましたな、観世音菩薩」

二郎神はこの時を予想していたかのように、観世音菩薩に報告する。
しかし、観世音菩薩は全てを知っていたかのように語る。

「―――ふん、全てはとっくに始まっていたさ」
「は?」

二郎神は理解ができなかった。

五百年前のあの時から――――

観世音菩薩の脳裏に浮かぶのは、大きな満月の夜に岩から生まれた、幼き少年の姿…。

「自分を取り戻して来いよ…咲羅」

観世音菩薩は囁いた…。
それはまるで、自分の子どもに言い聞かせるかのように…。


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