黄色い幸福
□デート、しませんか?
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そう言ってボクは電話を一方的に切ってしまった。ボクと黄瀬君は付き合っていて、彼はとてもボクを大切にしてくれている。だからこんな些細なことで機嫌を悪くする必要なんてないのに。
(きっとかわいくないですよね、ボクは・・・)
素直になりたいとは思うが、恥ずかしくてつい素っ気ない態度を取ってしまう。こんなコトをしていたら、いつか本当に嫌われてしまっても仕方がない。
(はぁ、せっかくの休みなんだから、リラックスしないと。)
家に帰って本を開く。しかし、彼の顔が頭にちらついて集中出来ずに、掛け直してこないだろうか、と携帯が気になって仕方ない。
すると、小一時間くらい経ってから、プルルルルと家の電話が鳴り響いた。
「もしもし、黒子です。」
「もー、黒子っちいきなり切るとかヒドイッス!携帯の電源も切ってるし・・・」
学校へ行くときの癖で電源まで切ってしまっていたらしい。
「すいません、他の女の子と一緒で忙しそうだったので」
自分でも、イヤな言い方だと思うのに、口からこぼれ出てしまった。
「・・・そーゆーコトッスか。」
すると、いきなり玄関のチャイムが鳴る。まさかと思ってドアを開けると、そこには今話している相手である黄瀬が立っていた。
「!?なんでキミがここに?」
神奈川から東京迄わざわざやってきた?一体何のために?
「で、黒子っちオレになんの用があったんスか?」
黄瀬は少し意地悪な笑みを浮かべる。
ボクが何故電話を掛けたのか、そして電話を切ったのか、本当は全てばれているのかもしれない。