赤い誘惑

□額縁の中の君
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「・・・この鎖外してくれませんか?」

今はまだ四月の始まり。金属の鎖が肌に触れると酷く冷たく感じた。

「おや?驚かないのか?」

「初めからわかってましたから。こんなことをするのはキミしかいないでしょう?」

目が覚めた時に脳裏に浮かび、すぐに目を逸らした可能性。最悪の状況。

「鎖を外してくださいと言ったはずですが。」

「そう言われて外すとでも?」

赤司はニッコリと微笑んだ。その美しい微笑みに思わず目が奪われる。しかし気付いてしまった。彼の目は笑っていない。

「何が目的ですか?」

「お前をここに閉じ込めること、かな?」

返ってきた答えに背筋が凍る。

「また、僕の前から姿を消されでもしたら困るからね。」

「狂ってる・・・」

すると、赤司はさも愉快そうに、

「僕をこんなふうにしたのはテツヤ、お前だよ?」

と、黒子の細い顎に手を掛け自分の方を向かせる。

「お前に僕が小学生だった頃の昔話をしてあげよう。」
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