赤い誘惑
□相合傘
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それから、二人とも言葉を発さずに黙って歩いていたら、暫くしてふと、赤司が口を開いた。
「そういえば、こうして二人っきりになるのは久しぶりだな。」
二人っきり、という言葉に少し気恥ずかしくなり、赤司君のことをより意識してしまう。自分でも頬が紅潮していくのがわかるくらいに。
(小さい傘の所為でいつもより赤司君の体温が近いです・・・)
赤司君の隣はとてもドキドキしてしまう。そんな心を読まれないように黒子は俯いた。
「・・・今週は赤司君が忙しかったですもんね。」
「いいや、お前が青峰や、黄瀬とばかり居たからだろう。」
(・・・成る程、だから最近、部活のとき、ピリピリしてたんですか・・・)
すると黒子はズイッと覗き込むようにして、赤司の顔を見た。
「もしかして・・・妬いてるんですか?」
黒子に上目遣いで見つめられ、赤司は少し驚いたような顔をしてから
「さぁ?どうかな?」
と戯けたように笑った。
ボクがキミ以外には見せない表情があるように、ボクだけが知っているキミのかわいいところ。意外とキミって嫉妬深くて寂しがり屋
、なんですよね。