黒い激情

□名前呼びになった理由
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「テツヤ、今日は先に帰ってくれ。」

「えっ・・・?赤司君、今テツくんのこと名前で・・・?」

そう、普段、赤司君はボクのことを苗字で呼ぶ。桃井に指摘された赤司君の顔には珍しく焦りが見て取れる。

「い、いや、苗字呼びだとよそよそしい感じがするだろう。それでこれからみんなを名前で呼ぼうかなと思っただけだ。」


な、大輝、涼太と呼ばれた青峰君と黄瀬君は

「あぁ、そ、そうだな。」

「いいっスね、名前呼び。」

とぎこちない返事をする。

「ふーん?」

なんだか釈然としない、という顔の桃井さんにボクは微笑みかけた。

「ところで、何か飲み物ありますか?もう飲んでしまって・・・」

「あ、うん、取ってくるね!」

「いつもありがとうございます。」

頬を赤く染め走り去る桃井さんの後ろ姿を見て、ボクたちは、はぁ、と溜め息をついた。桃井さんはボクと赤司君の関係を知らないのだ。

それにしても、いつものクセで名前で呼んでしまうなんて可愛いにも程があります。それだけ赤司君がボクのことを考えてくれているということですよね。

もっともっと赤司君の頭の中がボクでいっぱいになればいいのに、なんて少し欲張り過ぎでしょうか?

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