short story

□恋愛予言
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「嵐さん、入りまーす。」


それは、いつもの番組収録。
二本取りの、二本目で。

楽屋からスタジオに一歩足を踏み入れた瞬間、スイッチが切り替わる。
オフから、オンへ。


二宮和也が、嵐の二宮和也へ。



ファンの子達で埋められた客席を、どーも、なんて言いながら通りすぎて。
いつもと同じく、大野さんの隣でオープニングをこなして、ゲストを、迎える。

一通りのやり取りを終えて、カット。

セットチェンジの間、これが終わったら今日の仕事は終わりだな、なんて思いながら、ふと。


いつもはそれほど目を向けない、客席に目が行った。


それは、本当に自然な動きの中で。
そのまま、観客を通過してしまう程度の動作でしかなかった、はずなのに。


パチリ、と。

その瞬間、シャッターが押されたように、時間が止まったんだ。

本当に、唐突に。




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