a shining flower〜水道魔導器編〜
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レイブンに着いて行くと、酒場のとある豪華な一室に案内された。そこは、ドンが偉い人を招いて酒を交わす場所であると、レイブンは教えてくれた。
その部屋にあったドアの前に、レイブンが立った。
「これは?」
「この街の地下には、複雑に地下水道が張り巡らされている。その昔、街が帝国に占領された時、ギルドはこの地下水道に潜伏して、反撃の機会を伺ったんだと。」
「まさか・・ここがその地下水道に繋がってる・・とか言わないよね?」
カロルがレイブンにそう尋ねると、レイブンは「そのまさかよ。」と得意げに言った。
「で、ここからこっそりと連中の足元に忍び込めるって寸法よ。」
「ちゃちゃっと忍び込んで奴らふん捕まえる。回り道だがそれが確実ってわけか。」
信じて良かったでしょ?とレイブンは言うが、ユーリは結果が全てだよとレイブンをまだ信じていないようである。
「当然、おっさんも付き合ってくれるんだろ?」
「あっらー?おっさん、このままバックれる気満々だったのにー。」
すると、今まで黙っていたリクティスが声を震わせながら言った。
「ね、ねえ・・地下水道ってことは・・その・・つまり・・・」
「真っ暗よん。」
「で、ですよね・・・」
「リィはここで待ってるか?」
リクティスは、「行く。」と弱々しい声で答えた。
「レ、レイブン・・一緒に行きませんか?レイブンさんがいた方が・・怖くなさそう・・」
「おっ!おっさんモテモテ!?リクティスちゃんに頼まれたら行くしかないじゃない!」
そう言うと、レイブンは我先にと地下水道へと入って行った。
そして、遠くからリクティスの名前を呼ぶレイブンの声が聞こえて来た。
「・・やっぱレイブンさんいると、一気に明るくなる・・」
「リィ・・もしかして強いからとかじゃなくて・・・」
「おっさんがあんなバカみたいに高いテンションだから気が紛れると思ったわけ?」
リタがそう呆れた感じで言うと、リクティスはもちろん。と首を縦に振った。
「・・ま、まあ、大勢の方がきっと楽しいですよ。」
「エステル・・遠足に行くわけじゃないよ・・」
レイブンを追って、ユーリ達も地下水道へと降りて行った。