a shining flower〜水道魔導器編〜

□23
1ページ/3ページ



23.

西に向かうにつれて次第に天気は回復していき、空は綺麗な茜色に染まっていった。
巨大な石橋を渡り切りついた街は、どこか下町を思い出させるものである。

「ここがダングレスト。ボクのふるさとだよ。」
「賑やかなとこみたいだな。」
「そりゃ、帝都にに次ぐ第二の都市で、ギルドが統治する街だからね。」
「もっとじめじめした悪党の巣窟だと思ってたよ。」
「それって、ギルドに対する偏見だよね。」
「紅の絆傭兵団の印象が悪いせいですよ、きっと。」

エステルのフォローもあって、カロルはホッとため息をついた。

「ボクも悪党かと思ったよ。」
「あんたが悪党なら、こいつはどうなんのよ。」
「それもそうだ。」
「ユーリは大悪党だもんね!」
「ああ。・・さて、バルボスの事はどっから手つけようか。」

すると、カロルはユニオンに行くのが確実だと言った。

「でも、いいわけ?バルボスの紅の絆傭兵団って5大ギルドのひとつでしょ?」
「ってことは、バルボスに手を出したらユニオンも敵にまわるな。」
「・・・それはドンに聞いてみないとなんとも・・」
「カロル、ドンって?」
「ユニオンの親玉か?」
「うん、5大ギルドの元首『天を射る矢』を束ねるドン・ホワイトホースだよ。」
「んじゃ、そのドンに会うか。カロル、案内頼む。」

するとカロルはいきなり気弱になった。やはり、ダングレストにはあまり来たくなかったのであろう。

「そんな簡単に会うだなんて・・・ボクはそんなに・・・」
「お願いします。」

エステルのお願いを聞いて、カロルはユニオンが北に本部を構えていると言った。とりあえず、その本部にいこうという事になった。

街の中央部に来ると、カロルが小さい背をさらに低くしてリクティスの後ろをピッタリとついて離れなかった。しまいに、あたりをキョロキョロしているのをみて、リタが思わず口にした。

「あんた、何してんの?」
「え?な、なにって、別に・・」

「ん?そこにいるのはカロルじゃねえか。」
「どの面下げてこの街に戻ってきたんだ?」

突然、柄の悪い男2人に話しかけられた。

「な、なんだよいきなり。」
「おや、ナンの姿が見えないな?ついに見放されちゃったか、あはははははっ!」
「ち、違う!いつもしつこいから、ボクがあいつから逃げてるの!」

「これがあるから、あいつ最初ダングレスト行きを嫌がったんだな。」
「だね・・。でも、大人気ない・・」

ユーリとリクティスは小声で話をした。

「あんたらがこいつ拾った新しいギルドの人?相手は選んだ方がいいぜ。」
「自慢出来るのは、所属したギルドの数だけだし・・・あ、それ自慢にならねえか。」

すると、ユーリは柄の悪いやつら相手に反撃をし始めた。

「カロルの友達か?相手は選んだ方がいいぜ。」
「な、なんだと?」
「あなた方の品位を疑います。」

リクティスは、カロルの両肩に手をおいて、さらに追い打ちをかけた。

「あなた達みたいな大人が、2人がかりで、こんなに小さな子ども相手にいじめだなんて。最低ですね。群れないと、なんにも出来ないの?」

「ふざけやがって!」
「あんたたち、言うわね。ま、同感。」
「言わせておけば・・・」

すると突然、鐘の音がカンカンっと勢いよくなり始めた。

「やべ・・・また来やがった。」
「行くぞ!」

男たちは、先ほどまでユーリ達が通って来た道を逆に通って行った。


次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ