a shining flower〜水道魔導器編〜

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ノール港を出て、西の丘の上にある林に向かうと、黄金のツノと毛並みをもつ馬型の魔物が姿を表した。

「これがリブガロだよ!」

カロルが叫び、戦闘を開始した。
思いの外弱く、早く倒す事ができた。

「この子・・傷だらけ・・・」
「死に物狂いの連中に何度も襲われたんだろうな。」

リクティスの言葉にユーリは答えたが、それをエステルが否定した。

「そんな、街の人が悪い訳じゃ・・・」
「わかってるって。」

するとユーリはリブガロに近づき、黄金のツノをへし折った。

「ユーリ?」
「高価なのはツノだろ?金の亡者どもにゃこれで十分だ。」
「あんたが魔物に情けなんて、かなり意外なんだけど。」
「のんきな事言ってたら、ほら、起きるよ!」

リブガロは立ち上がったが、襲う事無くその場を立ち去った。

「あ、あれ?なんで?」
「私達の意図を、理解してくれたんですよ。」
「魔物が?まさか。」
「ツノが手に入ったんだからなんだったっていいさ。」
「そうだね。早く街に戻ろ!」


リブガロのツノを持って、ユーリ達は再びノール港へと急いだ。
ノール港へつくと、先ほどの夫婦が何やら外でもめていた。

「待って!せっかく、ケガを治してもらったのに!」

ティグルが剣を持って、ケラスの忠告を聞かずに街の外へと向かった。
するとユーリが前に立ち阻んだ。

「そんな物騒なもん持って、どこに行こうってんだ?」
「あなた方には関係ない。好奇心で首を突っ込まれても迷惑だ。」

すると、ユーリはティグルの足元に先ほど手に入れたリブガロのツノを投げた。

「こ、これは・・・」
「あんたの活躍の場を奪って悪かったな。それは、お詫びだ。」

そういうとユーリは宿屋の方へとむかって行った。

「「あ、ありがとうございます」」

それをみたリクティス達は、ユーリの元へと急いだ。

「ちょ、ちょっと!あげちゃってもいいの?」
「あれでガキが助かるなら安いもんだろ。」

ユーリは振り返らずに答えた。

「ユーリ、最初からこーするつもりだったんでしょ?」
「思いつき、思いつき。」
「その思いつきで献上品がなくなっちゃったわよ。どうすんの?」

するとユーリは振り返り、別の方法で乗り込むと言った。

「ほんと、ユーリらしいね。」

リクティスが眉を下げて笑うと、エステルが口を開いた。

「なら、フレンがどうなったか確認に戻りませんか?」
「とっくにラゴウの屋敷に入って、解決してるかもしれないしね。」

カロルの前向きな考えに、ユーリはあまり望みがないのだろう、棒読みで答えた。

「だといいけど。」
「じゃあ、さっきの部屋に行ってみよう!」








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