a shining flower〜水道魔導器編〜

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15.

リタを引き連れてハルルの街へくると、リタがひとりびっくりしていた。

「げっ、なにこれ、もう満開の季節だっけ?」
「へへ〜ん、だから言ったじゃん、ボクらで蘇らせたって。」

リタが調子に乗るなとカロルの頭をチョップすると、家から街の長が出てきた。

「おお、みなさんお戻りですか。騎士様のおっしゃったとおりだ。」
「あ!長さんこんにちは!」
「あの、フレンは・・」
「こんにちは。残念でしたな。入れ違いでして・・」
「え〜、また〜。」

またフレンとすれ違いという事で、カロルもエステルも落胆してしまっていた。

「結界が直っていることには大変驚かれていましたよ。」
「あの・・どこに向かったか、わかりませんか?」
「いえ・・・私にはなにも・・ただ、もしもの時はと、手紙をお預かりしています。」

長がユーリに手紙を渡し、仕事が残ってますのでと言って長は、家に帰って行った。
渡された手紙を開くと、それはただの手紙ではなく意外なものであった。

「え?こ、これ手配所!?ってな、なんで?」
「ちょっと悪さがすぎたかな。」
「え、ユーリそんなにひどい事お城でしたの!?」
「い、いったいどんな悪行重ねてきたんだよ!」

リクティスとカロルが声を出しておどろく中、エステルはひとり視線を落としていた。

「これって・・わたしのせい・・・」

しかし、当の本人であるユーリは何も気にする事もなく、むしろ懸賞金が安すぎて文句を言っていた。

「こりゃ、ないだろ。たった5000ガルドって。」
「脱獄にしては高すぎだよ!他にもなんかしたんじゃない?」
「それで、手紙にはなんて?」

エステル手配書のウラに書いてあるフレンからの手紙が気になるようである。ユーリはエステルに手紙を渡し、エステルはそれを読み上げた。

「僕はノール港へ行く。早く追いついて来い。」
「早く追いついて来い、ね。ったく、余裕だな。」
「フレンらしいね。安心した!」

手紙にはまだ続きがあるようで、エステルはまた、読みはじめた。

「それから、暗殺者には気をつけるようにと書かれています。」
「なんだ、やっぱり狙われてるの知ってんだ。」
「なんか、しっかりした人だね。」

ユーリの友達だからもっと違う人を想像してたよ。とカロルは意外そうにエステルの話を聞いていた。

「身の危険ってやつには気づいてるみたいだけど、この先、どうする?」
「そうですね・・」
「フレンの身の危険を知らせる旅だったんだよね?」
「そう・・なんですけど・・・」
「オレはノール港に行くから伝言があるなら伝えてもいい。」
「それは・・でも・・」

一般人には聞かせられない話なのであろうか。エステルが口にするのを躊躇うと、ユーリはそれとなく話を続けるのをやめた。

「ま、どうするか考えときな。」
「あれ、そういえばリタは?」
「さあ、結界魔導器がどうとか言ってたし、ハルルの樹でも見に行ってるんじゃねえか?リタが面倒起こしてないかちょいと見てくる。」
「あ、私も・・」
「すぐ戻ってくるから、ちょいと待っててくれ。」

そういってユーリは、リクティスとエステル、そしてカロルと別れ、樹の広場にいるリタの元へと向かった。







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