a shining flower〜水道魔導器編〜
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「・・肝心のフレンはいませんでしたね。」
「その騎士、何者なの?」
「ユーリとリィの友達です。」
それは苦労するわね。とユーリを見ながら肩を竦めるリタに、なにか言いたげそうなユーリ。
「別に。で、なんでそいつがこの街にいるの?」
「ハルルの結界魔導器を直せる魔導士を探して・・」
「ああ・・・あの青臭いのね・・あたしのとこにも来たわ。」
まさかの発言にびっくりしたエステル。元気だったかと聞くと、多分そうじゃない?と適当な返答をした。
「騎士の要請なら他の魔導士が動くだろうし、もうハルルに戻ったんじゃない?」
「そんな・・・」
またすれ違ってしまったことにがっかりするエステル。すると、リタがユーリの方を向いてこう言った。
「で?疑いは晴れた?」
「リタは、ドロボウをする人じゃないと思います。」
「思うだけじゃやってない証拠にはならないな。」
「でも・・・!」
「いいよ、庇ってくれなくて。けど、本当にやってないから。」
「ま、おまえはドロボウよりも研究の方がお似合いだもんな」
そう言ってユーリは先に門へと足を進めた。
「警備に連絡してくるから、先にあたしの研究所に戻ってて。いい?あたしの許可無く街出たらひどい目に合わすわよ。」
リタは通行証をユーリに渡し、警備室へと向かった。ユーリたちはリタからもらった通行証を騎士に見せると、騎士達に本当にモルディオの知り合いかよ。と唖然とされた。そして、堂々と門をくぐりリタの部屋へと向かった。
リタが帰るまで、それぞれも休養をしっかりとろうということになり、ユーリは床に寝っころがり、カロルとリクティスは座っていたがエステルだけがウロウロと部屋の中を回っていた。
「フレンが気になるなら黙って出て行くか?」
「あ、いえ、リタにもちゃんと挨拶をしないと・・」
「なら、落ち着けって」
そう言われ、エステルは立ち止まった。
「ユーリ達はこの後どうすんの?」
「オレは魔核ドロボウの黒幕のところに行ってみっかな。デデッキも同じとこ行ったみたいだし」
「私も。ユーリについてく。」
「だったら、ノール港まで一直線だね!」
ユーリがノール港に行くのがとても嬉しいのであろう。声を弾ませながら説明しだした。
「トリム港って言ってなかったか?」
「ユーリ、知らないんだ。」
「知らないって何を?」
「ノールとトリムは、ふたつの大陸にまたがったひとつの街なんだよ。このイリキア大陸にあるのが、港の街カプア・ノール。通称ノール港。お隣のトルビキア大陸には港の街カプア・トリム。通称トリム港ってね。だから、まずはノール港なの。途中エフミドほ丘があるけど、西に向かえばすぐだから。」
「私はハルルに戻ります。フレンを追わないと。」
「・・じゃ、オレも一旦ハルルの街へ戻るかな。」
「え?なんで?そんな悠長な事言ってたら、ドロボウが逃げちゃうよ!」
「慌てる必要ねえって。あの男の口振りからして、港は黒幕の拠点っぽいし、それに、西に行くならハルルの街街は通り道だ。」
すぐにノール港に行けると思ったカロルが少し躊躇しはじめた。
「え、でもぉ・・」
「急ぐ用事でもあんのか?好きな子が不治の病で早く戻らないと危ないとか?」
「そんな儚い子ならどんなに・・」