a shining flower〜水道魔導器編〜

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12.

ハルルの街から東へ進むと、大きな山脈が連なっていた。そこに、一つの洞窟を発見し入ってみると街が築かれていた。

「ここがアスピオみたいですね・・」
「薄暗くてジメジメして・・おまけに肌寒いところだね。」
「なんか、暗くて心が沈んじゃう・・」
「太陽見れねぇと心までねじくれんのかね、魔核盗むとか。」


ここアスピオは、帝国直属の学術都市らしく、『通行許可証』がないと街への出入りは禁じられているようだ。

「中に知り合いがいんだけど、通してもらえない?」
「正規の訪問手続きをしたなら、許可症が渡っているはずだ。その知り合いとやらからな。」
「いや、何も聞いてないんだけど。入れないってんなら、呼んできてくんないかな?」
「その知り合いの名は?」
「モルディオ」

その名を聞いた瞬間、騎士たちの今まで厳粛にしてきた態度が一変して焦り出した

「モ、モルディオだと!?」
「や、やはりダメだ。正式な手続きの上、許可証を交付してもらえ。」
「ちぇ、融通きかないんだから。」

すると騎士が槍をつかいカロルに威嚇し、それをみたカロルはユーリの後ろに隠れた。
また、エステルの誘導尋問でフレンがここにきたことはわかったが聞く耳を持ってくれない。

「やめとけ、こいつらに何言っても時間の無駄だって」

ユーリたちはその場を離れ、表から入れないなら次の策を考えるまでだということで、別の入り口を探しはじめた。

リクティスが外れの方に小さな木製の扉を見つけるが、鍵がかかって開けられない。

「都合よく開いちゃいないか」
「どうする?壁、よじ登ってみる?」
「早くも最終手段かよ」

そんな話をしていると、カロルが扉に近づいてなにやら鍵穴を真剣に見始めた。

「フレンが出てくるのを待ちましょう。」
「フレンは出てきたとしても、モルディオは出てこないだろ。」
「出てきたフレンにお願いして中に入れてもらうのはどうです?」
「あいつ、この手の規則にはとことんうるさいからな。頼んでも無駄だって。」

カチャカチャと音を立てるカロルにリクティスが近づくと、それに気がついたのかカロルが顔をあげた。

「カロル〜何やってるの?」
「よし、開いたよ。」
「え?だ、だめです!そんなドロボウみたいなこと!」
「・・・お前のいるギルドって、魔物狩るのが仕事だよな?盗賊ギルドも兼ねてんのかよ」
「え、あ、うん・・・まあ、ボクぐらいだよ。こんなことまでやれるのは」

中に入ろうとするがそれを頑なに拒むエステル。さすがお嬢様といったところであろうか。常識があるというかとらわれ過ぎているというか・・。

「ほんとに、だめですって!フレンを待ちましょう」
「フレンが出てくる偶然を期待できるほどオレ、我慢強くないんだよ。だいたい、こういうときに法とか規則に縛られんのが嫌でオレ、騎士団辞めたんだし」
「え、でも・・・」
「んじゃ、エステルはここで見張りよろしくな」
「え、えっと、でも、あの・・・っ」
「すぐ戻ってくるね!」
「わ、わたしも行きますっ!」


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