a shining flower〜水道魔導器編〜

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お喋りなカロルが加わったことで、一気に賑やかになったユーリ御一行。
無事にクオイの森を抜けることができ、大きな樹に守られるように築かれた町に到着した。

「ここが花の街ハルルなんですよね?」
「うん、そうだよ」
「花の街って聞いてたから・・・もっと華やかなのかと思ったけど・・・」

花の街と言われるハルル。しかしその面影は暗く、"花"と謳われるに相応しいとはお世辞でも言えなかった。

「この街、結界ないのか?」
「そんなはずは・・・」

エステルは、デイドン砦でもそうであったが結界のない街があるということにとてもショックを隠せないでいた。

「みんなともハルルは初めて?・・・そっか。だっから、ハルルの木の結界魔導器も知らないんだ。」
「樹の結界?」
「魔導器の中には植物と融合し有機的特性を身に付けることで進化をするものがある、です。その代表が、花の街ハルルの結界魔導器だと本で読みました。」

「・・・博識だな。
で、その自慢の結界はどうしちまったんだ?役に立ってねえみたいだけど。」
「確かに・・・結界もはられてないし・・・」

そういってリクティスは空を見上げる。

「毎年、満開の季節が近づくと、一時的に結界が弱くなるんだよ。ちょうど今の季節なんだけど、そこを魔物に襲われて・・・」
「結界魔導器がやられたのか?」
「うん、魔物はやっつけたけど、樹が徐々に枯れ始めてるんだ・・・あ!」

カロルの前を小さい女の子が通り過ぎたと思った途端、用事があるといってユーリたちと別れた。

「勝手に忙しい奴だな。エステルはフレンを探すんだよな・・・」
「エステルなら街の奥に行っちゃったけど・・・」
「大人しくしとけって、まだわかってないらしいな。それに、フレンはいいのかよ」

エステルの元へ行くと、怪我をした住人の手当をしているようだ。それをみたリクティスも駆けつけて手当をし始めた。

「すごい・・・傷みがなくなった。あ、ありがとうございます。本当にありがとうございます。」
「いえ、そんな、ぜんぜん・・・」
「エステルの治癒術すごい・・・」

その様子を遠巻きで見たユーリは何かを考えるように口元に手を当てた。




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