a shining flower〜水道魔導器編〜
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08.
結界の外に出ると、様々な魔物が生息をしていた。
犬型の魔物、昆虫型の魔物、はたまた草花に扮した魔物まで。
極力無駄な戦いは避けたいユーリ達だったが、魔物は獲物が来たと思い容赦無く襲ってくる。
しかしそこまで強くもなく、大多数の魔物に鉢合う事もなかったためそこまで苦労はしていなかった。
「しっかし、こんな形で旅に出ることになるなんて思わなかったぜ。」
「ユーリは帝都から離れたくなかったんです?」
「ん?まあ、下町なんかに住んでるとら今日を生きるのに精一杯でね。あんまり真剣に考えたことなかったんだよ。漠然と旅に出てみたいとは思ってたけどな。」
そういってユーリは空を見上げた。そこは、一面に広がる澄んだ青。見ているだけで心が癒されるようである。
「わたしは、ずっと外の世界に憧れてました。ただ、外にいるだけで、感激してます。」
「ま、感激するのもいいけどほどほどにな?」
「さっきから疑問に思ってたんだけど・・・エステルも魔核を取り戻す為に旅に?」
お城での詳しい事を何も知らされてないリクティスが疑問に思うのも無理はない。貴族が下町のために自ら結界の外に出るだなんて考えにくい事である。
「いえ、わたしは・・・フレンの身が危険なのをフレンに伝えるために、ハルルの街を目指しているのです。」
「まあ、想い人があんなわけわかんねえ奴に狙われてるだなんて分かったら、いてもたってもいられねえよな。」
「え!あ、ち、違います!」
ユーリはお城でやられた仕返しだろうか。ニヤニヤしながら、顔を赤らめ両手で顔を隠すエステルを横目で見ていた。
「え!エステルってフレンの事す・・・」
「きゃああ!リィまで何をいうんです!もう!」
そんなエステルを見て、ユーリとリクティスは顔を合わせて微笑んだ。そして、ラピードは『なにやってんだか。』という顔をしながらユーリの横を歩いている。
「でも、フレンが狙われてるって・・・なんだかその狙ってる本人も可哀想な気もする。」
「え、どうしてです?」
「フレンって、基本何でも完璧にこなしちゃうじゃない?剣術でもかけっこでも、ユーリは小さい頃から勝てた事なかったよねー。」
うっせぇ。と言いながらも、親友の強さは誰よりも知っているユーリ。フレンなら狙われていたとしてもなんとかしちゃうだろうとも思えた。
「ねえユーリ!向こうにおっきな砦が見えるよ!」
「あれが、デイドン砦・・・か?」
「地図をみると、そのようですね。早く行きましょう!」
そういうと、今までゆっくり歩いていたエステルの歩調が早くなり、ユーリ達がおいて行かれそうになる。
「あ!エステル待ってー!」
「ったく。お嬢様はどんだけフレンが好きなんだよ。」