shin
□ただ、それだけ…
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町の中心街を歩いていると、里佳に歩みを止められた
里佳「あのっ、シンさんっ…」
シン「なんだ?」
里佳「あ、あの…歩くの、早くて…息がきれちゃいます…
あと、腕…痛いです…」
シン「あぁ」
俺は里佳の腕から手を離した
離した里佳の腕が赤くなっていた
シン「………」
俺は里佳の歩く速さに合わせて歩いた
女は町をゆっくり歩いて、店を見てまわるのが好きだ
こいつもいつもなら落ち着きがなくてやかましいぐらいだが…さっきから店に見向きもしない
前を見ているようで、自分の中にしか目がいっていないようだ
おそらく、俺の事も…
見えてはいない
自分の心の中の、船長を見ているんだろう…
俺は特に言葉も交わさず、ただゆっくりとこいつのペースで町を歩いていった