Chinese lantern ☆

□第壱章
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閻魔殿の中に入ると、大きな身体をした優しそうなおじさんが、これまた大きなイスに座っていた。
もしかしなくとも、天下の閻魔大王である。




なんか、思ってたのと違う。





「お帰り鬼灯君、はやかったね。……ってそこに居るのって誰??」




「三途の川の前で会いました。亡者ではないようなのですが、気がついたら河原に居たそうです」




「それって臨死体験してるって事!?!?大丈夫なの君!?」




『苗字名前といいます。ご迷惑をおかけして申し訳ありません』




「うん、ワシは閻魔です。そんな堅苦しくしなくていいよ!!……って、違う違う!そうじゃなくって」




さ、さすが天下の閻魔大王だは!!
完璧な乗りツッコミ。


只者じゃないのね……。閻魔大王様って何でも完璧にこなせるんだ!!




キラキラと目を輝かせながら遠くを見る名前をみて、鬼灯はため息をこぼした。




「完璧に、変な誤解をされてますよ」
「うん、ワシもそうおもった」





……そういえば、私あの場所で気がつく前。
学校で何してたんだっけ??



授業で居眠り??いや、違う……。
今日の時間割は私の好きな教科ばっかりだったし、嫌いな教科以外は居眠りしないからな私……。




休み時間?放課後?
そうだ、放課後だ……樹齢三百年の桜の木下で、何かを見た。それから意識を失って……。



なにかって、何??




記憶の中から、すっぽり何かを切りぬかれたように記憶がない。




どうして、なにかが思い出せない。
人だったっけ?動物だっけ?それすらもわからない。


ただ、体が覚えてるのは、ただならぬ恐怖。




どうして、何がそんなに怖いの??わからない恐怖感に、体が震え始めた。











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