見送る俺とオバケな人々

□彼は確かにそこにいた
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今日も太陽はあまり顔を出さない。

どうやら、かなり機嫌を損ねてしまっているらしい。

若干薄暗い、昼間にしては薄暗い、そんな中で、僕は今日もその交差点に足を向ける。

何故、と言われても、自分でもその理由は分からない。

忙しなく行き交う往来の流れをぼんやりと眺めながら、僕は今日もそこに立っている。

ずっとこの交差点に通い詰めて改めて分かることは、現代人がいかに時間に追われた生活をしているのかと言うことだ。

電話をしながらせかせかと交差点を渡って行く中年くらいのおじさんとか、恐らく上司に引っ張られて今から昼食でも食べに行くのだろうという若いサラリーマン風の男性とか……

皆それぞれ、様々な用途でその交差点を渡って行く。

この交差点に来たくなる理由は未だに分からないが、一つだけ分かったことがある。

人間観察というのは、意外と面白いものらしい。
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