Short story
□ただただ好きでいたいだけ
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「コナツコナツコナツ〜!!!」
「何度も言わなくても聞こえてますよ、ルキ」
「へへっ…」
思い切り抱き着いたはずなのに、コナツはよろめきもせずに私を支えてくれた。
部署は違えど、私たちは恋人同士だ。
今は、多い仕事を切り盛りしてやっと確保できた休憩時間。
仕事の量と部署が違うことを考慮しても、触れ合う時間はそう多くない。
だからこそ、コナツの隙あらばいつでもどこでも抱き着く始末。
迷惑してないかすごく不安に思っても、臆病な私はコナツに直接聞けていないでいる。
「コナツは、もうお昼食べた?」
「まだですが…ルキはもう食べたんですか?」
「ううん、まだ」
「なら、一緒に食べませんか?この時間帯なら、食堂も大分開いている時間ですし…」
「行く行く!何が何でも行く!」
どうやら、知らず知らずコナツを抱きしめる力を強めていたようで、コナツが苦笑しながら、
でもすごく優しく頭を撫でてくれた。
「では、行きましょうか」
「うん!」
会えない時間は少なくても、こうして暇があれば私を機にかけてくれるコナツが、
どうしようもなく愛しかった。