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□くもりのち
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自称ではあるが、ロケット団1の参謀であるニャースはこれを好機とみて、ムサシを諫めるための作戦を頭の中に組み立てる。

「どういう意味なのかって、聞いてるの!答えなさいよニャース」
「そ、それはだニャ」

ムサシは手を動かすのを止めて、ニャースをじっと見つめる。
考えのまとまったニャースは口を開いた。

「コジロウも男なのニャ」

「男なら、お淑やかな女の子の方が好みなのニャ」

ぽつりぽつりと続けるニャース。

「けれど実際、ムサシはお淑やかではなく魔性な女の子なのニャ」

横目でチラリとムサシの様子を窺う。少々無理矢理だったが、慎重に言葉を選んだ甲斐もあってか、とくに言及はしてこないようでホッ胸をなで下ろすニャース。

「それが何だって言うのよ」

魔性と言われたのが満更でもないのか、少し声音を和らげて話すムサシにニャースは内心ニヤリとする。

「詰まりニャ、コジロウはムサシに翻弄される毎日に疲れてしまって、その結果としてムサシを避けるようになってしまったのニャ」

その言葉に、あからさまにショックを受けるムサシ。そのタイミングでニャースはさらに畳みかける。

「癒しを求めるコジロウは今、ムサシとは正反対の性格の女の子を求めているのニャ」
つまり、相手さえ見つかれば乗り換える、もしくはもうすでに見つけていて、その女の元へ通っている可能性があるということニャ。

少々強引な話の持って行き方ではあったが、愛するコジロウ絡みで、さらに最近のコジロウの挙動で心に不安を抱えていたムサシから見ると、ニャースの言葉には信憑性がもてた。

「だからムサシも、見切りをつけられるまえに、もう少し女らしく…「こうしちゃいられないわ!!」

ニャースの言葉に被せてムサシが勢いよく言葉を放ち、その場から走り去っていってしまう。

「…ニャニャ。行ってしまったのニャ」
一人取り残されたニャースがぽつりと呟いた。

ニャースにとって、途中で遮られた部分がいちばん聞いて欲しかったところ。コジロウが他の女とどうのこうのは関係なくて、もう少しムサシに暴力を控えてもらいたいがために、あんなに熱く語ったというのに。

小さくなっていくムサシの背を見つめながら、思惑とは違う結果に動いてしまった現状に、頭を抱えたくなった。

「コジロウがムサシを見限るなんて事、あるわけないのにニャ」
その言葉は、誰の耳にも届かない。
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