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□くもりのち
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最近ムサシは、コジロウに怒っていた。

「ねえコジロウ」
 
「うん?」

「買い物つき合ってくんない?」

「悪い、今日はちょっと…」

「また?最近そればっかりで、ちっとも付き合ってくれないじゃない」

頬を膨らませ、不満感をアピールする。

「そうかな、ごめん。埋め合わせは必ずするから」

苦笑いをしながら飄々とかわすコジロウ。
まだ文句を言い足りなくて口を開こうとするムサシに、コジロウは慌てて
「用事がある」
とどこかへ行ってしまった。 

「もう!バカ!」

ひとりで憤慨していると、ニャースが後ろから
「あいつも、ついにムサシの我がままに愛想が尽きたんじゃニャーのか?」

何気なく放ったその言葉は火に油を注ぐ結果となり、ニャースの頭上ではムサシが拳を握りしめていた。

「ニャニャッ落ち着くのニャ。八つ当たりは良くないのニャ」

必死の抵抗も虚しく、八つ当たり混じりの暴力を浴びるニャース。

「こんなんじゃ、コジロウが愛想尽かすのも当然なのニャーっ」
ぼそっと聞こえないように悲痛な心の声を吐き出したつもりだったが、それはムサシの耳に入っていた。

「それ、どういう意味よ」

ーヤバいのニャ。

焦るニャースだが、ムサシの反応は予想に反してやけに愁傷に見えた。
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