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□告白
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「なあニャース」
「なんにゃコジロー」
「お前、恋ってしたことあるよな」
それはいつかの失恋の思い出
傷は癒え、いまとなってはほろ苦さは消え、甘酸っぱさだけの残る思い出
回想に浸っていたニャースは、コジロウに静止され、現実にもどる
「それが一体、なんなのにゃ?」
素直に現実に戻って、話を聞いてあげる気になったのは、コジロウの様子がいつもと違ったから
「それって、どんな気分?」
質問に質問で返されても、ニャースにはおおよその検討がついていたので、さして気を悪くする様子もなく話に付き合う
「どんな気分かにゃ
どきどきして、好きな子にょことしか考えられなくなるのにゃ」
「自分が自分でなくなる感じ?」
「そんな感じにゃ」
会話はとぎれ、コジロウは考え込んでしまう
しばらく、思考が止む気配がないので、ニャースは口を開いた
「おみゃー、もしかして恋してるのにゃ?」
返事はないが、頬がほんのり赤く染まるのが見てとれた
「相手は、ひょっとしてムサシにゃ?」
見透かすような言葉に、コジロウはびくっと肩をふるわせた
「お、俺、何にも言ってないぞっ」
ぷるぷると、勢いよく飛び出た言葉に否定の色はなく、ニャースはやっぱりとひとりで納得した