手を伸ばせ!!

□私の脳は、女子のために。
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「カントク!いつまでボーッとしてんだよ!」

私は心の中で苦笑して、二年生の列に戻った。
日向の言葉にリコちゃんはハッと正気に戻ったようで、辺りを軽く見回す。

「ゴメンっ……で、えーっと」
「全員視たっしょ。あいつでラスト」
「あ、そう?……れ?」

何か気になることでもあるのか、リコちゃんは首を傾げる。

「……黒子くんって、この中にいる?」
「あ!そうだ帝光中の……」

帝光中……そういえば、勧誘の時にも言ってたな。
話の雰囲気的に、相当有名な強豪校なのだろうとは思ったけど。少なくとも、そこにいたというだけで期待されるような。

さすがにこのまま知ったかを続けるのは無理そうだったので、とりあえず、目の前にいた小金井に聞いてみる。

『なあ、小金井。そんなに帝光中って有名なとこなのか?』
「えぇぇ!?森山、帝光中知んないの!?」

信じられない、というような目で見られた。
中学でバスケやってたんなら常識でしょー、とも言われた。
……お言葉だが、お前は高校からバスケ始めたんだよな?

釈然としないが、彼の言葉の続きを待つ。

「帝光中バスケットボールっていうのは、超がつくぐらいの強豪なんだ。部員数は100越え、全中三連覇もしてる」
『へぇ……』

聞き覚えはあるけど、まったくと言っていいほど知らないな。
半ばぽかーんとした私は気にせず、小金井はそのまま話し続ける。

「んで!その中でも[最強]って言われたのが[キセキの世代]。10年に一人の天才が5人同時に現れたから、そう呼ばれてるんだ」

ちなみに、そいつらは今年1年だからな!と、小金井は付け加えた。
えっと、つまり……その帝光中出身の黒子くんとやらは、[キセキの世代]とかいう天才集団とチームメイトだったってことか?

「ていうか、なんで森山は知らなかったんだ?女バスだったとしても、有名すぎる話だろ」
「[キセキの世代]が男子だからじゃないか?」
「あー、なるほど」

おいそこ、私を残念なものを見る目で見るな。
でも多分……それが正解の理由だ。

いや、仕方ないじゃん。だって対戦しないし。
男子に関する知識に記憶力使うより、かわいい女の子の名前とアドレス覚えた方が、よっぽど脳みその有効活用だろ。



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