手を伸ばせ!!
□叫んでも、特に効果はない。
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『ちくしょ―――!!』
私は高らかにシャウトした。
そして感情のまま、体育館の床を叩きつける。
すると、新入生たちが一斉にこちらを向いた。驚かせてしまったかもしれない。
伊月が「あー、気にしないで。こいつの持病みたいなもんだから」と取りなす。
「かなえ、気持ちは……まあ、分かんないけど。とりあえず、自己紹介しなさい」
リコちゃんに促され、ヨロヨロと立ち上がる。
メガネが「いつにも増して、目ぇ死んでんぞ」とか言ってるけど、気にしない。
『二年の森山かなえ……、はあ』
…………。
ため息をついて、10秒休憩。
『です。マネージャーやってます。よろしく』
「セリフの間に休憩を挟むな!!ハキハキ喋れ!」
『うっせーメガネ。黙ってろ』
日向には分からないだろう。私のこの絶望感は。
『なんで女の子が一人もいないんだよ……っ!!』
「それはここが男バスだからだろ」
私の絞り出すような声に答えるのは伊月。
……今はお前の冷静さが心底憎らしい。
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