月影と愛されし君 magi

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それから、四人で休憩をして
白龍の稽古を再開して、今日一日が終わった。
珍しく、今日は紅の兄弟にはあっていない…中庭にいれば紅玉辺りが通るのに…そう考えながら歩いて部屋に戻る

そうすれば、丁度夕食が侍女に運ばれて来て
それを、一人で食べる


「……………んー…」


誰かと食べるのも良いが、そんな気分でもない。
暗くなった部屋は、蝋燭に火を灯して部屋を明るくする
この城にある書物は、殆ど許可を得て全部読み尽くしてしまったために今更読み返した所で新しい知識などないのだが

一人、書物を開き読みながら食べる。



―――コンコン



「開いてるぞ」


「……ルシリス…殿」
「白龍か、どうしたんだ?こんな時間に」
「あ、食事中でしたか………」

「いや、構わないよ。一緒に食べるか?」
「はい!」



自分の食事を持ってやって来たのは、白龍で微笑み中へと呼び込めば嬉しそうに微笑んで中へと入ってくる



「けど、俺の部屋に来るなんて珍しいな」
「あ、いえ…その……」

「ん?どうかしたのか?」


「あ、いえ、何もないのですが。ルシリス殿がお一人なのでは、と思い……」

「はは、そうか。ありがとうな」


心でも読まれたのか?なんて首を傾げつつ
礼を言えば、嬉しそうに笑う白龍。

本当、何時も本当に嬉しそうに笑う。この痕も気にならないぐらいに綺麗に


「あ、あの…ルシリス殿?」

「あ…あぁ、ごめんな、つい。それで?」
「いえ、なんでもないです。それより、これ…俺が作ったものなんですが…」

「白龍が?」

「はい!今日の稽古に付き合ってくれたお礼です!」



そう言って目の前に出してきたのは、美味しそうなおかずで
受け取れば、自分の方にある白龍が昔好きだと言っていたのをあげれば断るも、もらってくれた
本当に、素直で良い子だよな。


弟に……って、毎回断られるしな。
なんでだろ、俺嫌われるような事何かしたっけな

考えを巡らせながら食べる



「美味い……本当、お前あれだよ…武人辞めて俺の嫁になれば良いと思うよ。絶対守るし」

「えぇ?!あ…そ、れは―――」

「料理できるの良いな、俺もまぁまぁは出来る方だと思いたいけど」



そんなたわいもない話をして、夜が耽る










 ― ◆ ―





あの後、白龍が自分の部屋に戻ってから
湯浴みを済ませて、布団に入った。

煌帝国の布団凄い良いんだよ、俺が昼まで二度寝したくなるぐらいそれはもう……。


今日は例外で、早朝に目が冴えてしまい布団から出る。
少し肌寒いが、其処まででもない

部屋から出てお気に入りの昼寝場所へと向かう、その場所は何時も陽があっていて温かい場所
その樹に上れば、うつ伏せになり片足を垂らして寝転がる。
シンドリアでも同じ事してたな、そー言えば
あの国は何処に居ても、過ごしやすいようで少し暑かった。バルバッド程は熱くもないけどな



「……………」

「あれ?紅明?」
「……あぁ、ルシリスですか……」

「また徹夜か?」

「いえ、少々眠る時間が短かっただけです…」



髪が崩れて今にも倒れて、その場に寝てしまいそうな相手を見れば、声を掛けた
樹からすたっと降りれば、相手に近寄り

肩を貸して相手を運ぶ。


部屋に着けば、部屋の中が散らかっている


「……本当何時来ても、こんなんじゃないか?」

「え、えぇ…片付けてはいるのですが…」



そう苦笑しながら言う紅の彼に、苦笑で返す。
ベッドに下ろせば、そのまま腕を引かれ相手の上に座る形になる

デジャヴ、なんて溜め息を吐けば大人しく相手に凭(もた)れる


「大人しい…ですね?兄王にも…されていましたし………」

「お前ら本当、物好きだな。兄弟揃って何やってんだよ…大人しいもなにも、暴れた所で離してくれないだろ」
「…………それも、そうでした…」


納得すんなよ、全く。

大きく溜め息をついて、ありったけ体重をかけて相手の上に乗る。
兄弟揃ってなんで俺で、なんで何時も膝の上に俺乗せるんだ別に隣に座ったって…。そんな事を考える
しかし、それもしれでそんな悪い気がしないのもまた事実で

元々、綺麗じゃない俺が触れて良い人間なんて此の世にはもう、居ないんだけどな……。



すると肩にかかる重み、横を見れば自分の肩に顎を乗せてそのまま眠る紅明の姿




「…………全く眠いなら寝ろよ…」



大人しく、と呟き
相手の髪を解いてやってから身体を押してベッドに寝かせれば、相手の寝顔を見て髪を避け頬を撫で



「おやすみ…紅明……」



一言そう言えば、相手の頬にキスを一つ

眠っているのにも関わらず、服を掴まれているため動けずに刀を外せば相手と一緒に布団に入りもう一眠り





 

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