月影と愛されし君 magi

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ふわふわと浮く感覚、それから揺れる感覚。


揺れる、さっき俺は彼の隣に寝たはずだ。起きないと、と思い目を開ければ目の前には金色と赤と彼の顔
寝ぼけた自分には理解出来ずに、目が点になる



「あ、れ?」
「……やっと起きたんスか」
「あ、わ、わり……降ろしてくれていい」

「シンさんに、会うんだろ…もう近い」


だからいい、と言われれば降りる事は叶わず

寝惚けたままの頭を起こすのには、もう少し時間が掛かりそうだと思えば相手に身を任せることにた
変に動けば、逆に邪魔でしかない



一つの大きな扉の前に着けば下ろしてくれた



「シンさん…」


「ん?…んん?!ルシリスか!?」


「んー…煩ぇよ…頭に響く……」
「あ、あぁ済まない。それにしても…早いな、しかもマスルールに運ばれてくるとは…」



そういった彼が見たのは、俺の後ろにいる彼、あぁそういえば名前聞いていなかった…。



「っと、ありがとう……えと…」
「マスルールだ、ルシリス」
「…………っす」
「ふふ、そうか。ファナリスだろう?彼は」


微笑み目の前の王に問えば、頷いてくれた。
振り返り礼を言えば頷く彼に微笑み、向き直れば真っ直ぐに彼を見た。
そうなれば彼は中に俺を通してくれた、それに着いて中へとはいる

和やかであって、そうでないこの雰囲気

慣れたには慣れたが、ううーん。


王と呼ばれる人間はつくづく苦手だ。
彼らの雰囲気、っていうのかな



「さて、此処に来たということはこの国に腰を据えてくれるわけだろう?」

「腰据えるつもりはない俺はこの国と、どの国とでも中立でいるつもりだ。特に煌帝国とレーム帝国とはな」




この国と煌が然程仲良くないことは、分かっている。けれど、この国と煌帝国どちらかを取れと言われたならば俺はそれは選べない
こんな気持ちは、両者に利用されるのなんて百も承知だだからこそ譲れない
どちらかならば、この国のお気に入りと煌のお気に入りだけを俺は望む

レームは知り合いが沢山いるし、彼女とも仲が良い。

もう、大切なものを無くすのは嫌だ―――。



「そうか…あぁ、それでも構わない」

「それなら、俺は此処を拠点に動いても構わない…俺は、この国のため一友人のため俺が使える限りの力を尽くそう」




片膝を付けば、両手を前で握り合わせそう目を閉じ目の前の王に誓いを立てる


一つの叫びのような声と共に

扉が開き、雪崩込んで来たのは七つの影






 ― ? ―





自分の後輩と手合わせをしていれば、赤髪の後輩を見つけた声をかけようとしたがそいつの腕には金色の髪をした人物が抱かれていて、すごく綺麗で一目である感情が上がってきたのが分かった

それに、よく見れば相手は大太刀と刀を持っているではないか


「……………」


面白いものを見つけたとばかりに、後輩の後をついていった




「あれぇ〜?なにしてんの〜シャルルカン」

「うっせぇピスティ、今良いトコなんだ」



扉から覗いていると、そこを通りかかったのは五月蝿いピスティ


「ん?何やってる?」
「今いいとこなんだって!ヒナホホにドラコーン」
「?」


ぞろぞろと集まってきた八人将達
気がつけば殆どが集まってきていて、体の大きな大人達まで中を覗いている始末



「そんなとこで、何やってるんです?」


「俺は、この国のため―王のため俺が使える限りの力を尽くそう」



「―――――!!!?」




一番前にいた俺は、後ろにいた驚いた他の奴に押しつぶされる結果となり見上げれば中の人物がさきほどみた人物が驚いたようにこちらを見ている
そして、振り返れば般若の様なこの国の政務官。
全員正座させられて説教が始まった


それを苦笑してみている王とその人物



「ジャーファル君そろそろ、その辺で勘弁してやってはくれないか?ルシリスを彼らに紹介したい」
「ええ、そうですね。しかし後で彼らには仕事をやっていただきます」

「えーと、一応今は亡きレルドザール大国の第一皇子。ま、もうそんな肩書き誰も覚えちゃいないからな、ルシリスだ適当によろしく」



そう言った、ルシリスの瞳は自国の話をしたときほんの一瞬だけ悲しい顔をしたのをみた




「俺はシャルルカン、お前も剣士なんだろ?今度手合わせしようぜルシリス」
「ふふ、強そうだなお前よろしくな」

「な、剣バカといたらバカが移るわ。貴方人とルフが少し違うわ、今度気になるから話聞かせて頂戴!」
「俺でよければ、よろしく、えーと…」
「興奮しすぎて名前言い忘れてるぞ、バカ女。こいつヤムライハな」
「ヤムライハ…綺麗な名前だな、宜しく」

「私はピスティよろしくね、お兄さん」

「ピスティか、よろしくな」


皆それぞれに挨拶をしてゆき、ルシリスもそれに応えてゆく
あんな喋り方だ、男なんだろうが…それでもあの感情はさらに強くなった、あの声あの喋り方何もかもが――――。


あぁ、こんな感情





 

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