月影と愛されし君 magi

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灯厘と出会ってから数日
未だ砂漠の中。
水も食料も買い込んだ為、へっちゃらだが
そろそろ、一休みしなければ灯厘の体力が持たない

幾ら大きくて力があり、動物には珍しく魔力を持っていても体力には限りがある



「灯厘、そろそろ休もうか。疲れただろう?」



隣を歩く大きな虎の頭を撫でれば、そう言う
虎も目を合わせれば喉を鳴らして返事をする、とても賢くて人の言葉を理解できるらしい
益々気に入って可愛がった。

人がいない建物の残骸、それの中へとはいる。

そうすれば風がある程度は凌げる
夕方になり日が落ちてくれば当然この砂漠、寒くなってくるから
寒さを凌ぐためと顔を隠すための、大きなローブが役に立った。灯厘の背に乗せていた荷物を下ろせば背を撫でる
そうすれば嬉しそうに伸びをしてから、猫の様に丸まる
その腹の部分にくっつけば、同じく一緒に丸まって眠る


これがもう毎日の事で







 ― ◆ ―





すやすやと、一つの寝息。
それを遮る白い大きな虎、主を起こすべく鼻でつつく


「んん…あ、ともう少し……」


それを聞けば、黙って自分の主を眺める。あと少し、しかしあと少しとはどれぐらいだろうか
そう考えながら風の音しかしないそこで主をもう一度鼻でつつく
そうすれば、唸りながら起きる


「……うぅ〜〜ん―――…灯厘…」


抱き着いてくる主の顔を舐めれば、ふにゃりと微笑み我の頬を撫でてくれる。

嬉しくて擦り寄れば、顎の下を撫で



「起きないと……腹減った…」
《…グルルル》

「お前も腹減った?ごめんごめん、昨日夜食ってないもんな…」


そう言ってルシリスは荷物の中から色々と取り出し焼いてあるが肉を灯厘の目の前に出し食べさせる

おはよう、と言えば頭を撫でて自分の分のご飯を食べ始め



「はぁ〜〜、寝すぎたな。昼辺りか…陽の高さを見るに……」



頭を軽く掻けば、目を細め荷物の中から地図を取り出して広げみる

あぁ、此処からそう遠くない筈。
父さんが従えてた、ジン…俺が持つ四つ目のジン
俺がそれだけ持てるかどうかわからない
けれど、もし誰にも攻略されずに、俺を待っているのだとすれば――…それは、迎えに行かなければならない

王とか、俺に務まるのかは微妙だが。
シンが王になれるのなら、なんてふと思った



「―――……更々、俺は王になるつもりは無いんだけどな―…」




その呟きは風に流され消える。
地図をしまえば、目的の迷宮を目指し歩みを進めるのみ
誰か部外者に攻略されたら困る、とそう思えば自然と歩みが早くなる

絨毯を使うのもいいが、それでは少々旅の意味がない。
やっと、灯厘という相棒ができたのだから――…

その嬉しさに少し浸りたかったからで、それから魔力の温存の意味もある。もし何かあったときのための






 

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