月影と愛されし君 magi

□04
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あの後、部屋に戻ってからベッドに入った後の記憶は無い。
布団が気持ち良くて、何時のまにやら意識が飛んでいたんだろう。朝早くに目が覚めれば鳥が部屋の窓の所で歌っている
ほんの気持ちばかりの木の実を置いてやれば、紙に昨日出会った彼に宛てて手紙を書いておく。

その後、ホテルの従業員に頼んで渡してもらう様にするとさっさとその宿を、国を出ていった―――…。




それから向かう先は、煌帝国の近く。

あの国には長居はしたくないと思う、居ても良いことはないし俺の素性がバレれば利用されるに決まってる
…昨日のシンドバッドの様に。


あ、けど白龍には会いたいな白瑛も元気にしてんのかな…。



そう考えれば、歩いていくよりも魔法の絨毯の方が早いと、広げればそれに飛び乗り何時もよりも早く飛ばした。




「どうしてっかなぁー白龍…」



あそこの王、紅炎とは仲良くしてもらった…が面倒くさい男だ。
紅玉は可愛かったなぁ、紅覇は面倒臭いからあんまり会いたくないが元気にしているかどうかぐらいは知りたい。
あの時は居なかったが、煌帝国にはマギがいたな…。


そんな事を考えていれば、あっという間に煌帝国。
この国は皆黒髪だからか、金髪でこの服装の俺は目立つから直ぐに王宮に報告がいく


「あ、これ可愛いな……紅玉に買ってってやるか」



たまたま、通りかかった店を覗けば赤い宝石の付いたネックレスが売っていてそれを手に取れば店主がまけてくれると言われ
その少し離れた場所には、白い宝石の付いたブレスレッドが二つありそれも同様に買った

紅玉と白龍と白瑛の土産物ができたな。紅炎には……何もやらなくていいか
勘違いされても困る。

買い物が終われば、王宮に向かい、既に報告が回っているのかすんなり中へと通され案内人の侍女について行けば見えた影



「はーくりゅー!!」


「?!ルシリス殿?!」


「よっ、久しぶりだなーどうだ?槍の腕は良くなったか??」
「まだまだ、です。もっとこれから精進しようと思います!あ、あの何時お戻りに…?」
「クククッ、大変だな白龍も。そうそう、これお土産。一つは白龍のでもう一つは白瑛に渡しといてくれると助かる…さっきここに来たばっかりだ」



中庭で槍の稽古をしていた白龍を見つけるなり、大きな声で呼んで近寄れば両手を使い挨拶をしてくれた。
白龍は、前に会った時となにも変わらない、そんな様子に少し笑えば首を傾げたのが可愛くて頭を撫でてやれば目を見開きながら顔を赤くする

あー、白瑛良いなぁ。俺も白龍みてぇな弟ほしい。



「白龍やっぱ、俺の弟に――…」
「な、っなりませんよ!!」
「えーっ!」


「…やっぱり……」



真っ赤になり、慌てた様子で断ったのだが
すぐにそれに反論しようとしたが



「おっ、紅玉だ久しぶりだな、元気にしてたか?」
「っ、あ、は、いっ」
「紅玉に、お土産な…ちょーっと動くなよ?」



後ろからかかる声に振り返る。

すると、其処には紅色の綺麗な髪をした少女の姿


微笑み近付いてきた相手に、挨拶もそこそこ土産物のネックレスを出せば
近寄り腕を回して、抱き付く様にネックレスを着けてやり頭を撫でた。




「よし、出来た。やっぱり似合うなぁー買って良かった」

「か、かわいいですわ…あ、ああ…ありがと、ルシリス様っ」
「ふふ、どういたしまして夏黄文も、久しぶりだなー」
「お久しぶりです、ルシリス殿」
「今日紅炎いるのか?」
「いえ、紅炎様は今いらっしゃいません。」



そかそか、んじゃ仕方無いな挨拶もしたし手土産を渡して帰ろうか。
そう思い、袋からちょっとした土産物をだして夏黄文に渡すと同時に、ぺたぺたと音がして何かが近付いてくる


それは、こちらへと来れば目の前で止まった



「ババァなにしてんのー…誰だこいつ」



「紅玉はババァじゃねぇだろ、お前こそ誰だよ」




全身真っ黒で、赤い瞳の男が裸足で歩いてくるなり紅玉にババァと言って目の前にやって来ると見下すように睨む
お気に入りである紅玉をそんな呼び方するやつは許せるはず等なく


その瞬間その相手の後ろのルフが、一瞬ピンク色に…。



「っ俺、はジュダルだ、お前の名前は?!」
「…………ルシリス」

「ジュ、ジュダルちゃん、ルシリスはあげないわよっ」
「俺、何時紅玉のになったっけ?いや、嬉しいけど」



ジュダルが近付いてくると、目の前に紅玉が来て腕に腕を絡めて来る
それが可愛くて頭を撫でてやれば、微笑みそう言って途端に、ピンクだったルフが真っ黒に戻り目付きもまた鋭いものに戻る



「邪魔だ、退けババァ」

「嫌よ」
「退け」
「嫌っていってるでしょぉ!」
「分かったから…大きな声出さない、紅玉眉間にシワ寄ってるよ。女の子がそんな顔したら駄目だろ?」


段々と言い合いが大きくなっていき、目を伏せて大きなため息を吐き紅玉の頭を撫でると、眉間を触りシワを伸ばして

全く、そんな言い合いすることでもないだろうに



「……」

「し、神官…殿?」
「へぇ、やっぱ君が此処の神官…マギか……黒いルフと荒い性格、戦闘狂。魔力も問題なしの強さ…」

「なっ!」



近付けば顎を持ち上げて、上を向かせて見る。

そういえば、見たこと無かったなあ。



 

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