月影と愛されし君 magi
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それから少し、四人がザガンの攻略へと向かった。
何故か何処か妙に変な感じがして落ち着かない、それも気のせいだと思いたいが何処か落ち着かない。
「どうしたんだ?」
「…………何処か変な感じがする…四人に何かあるような…臭い何処か」
「臭い……もしかしたら、アル・サーメンが仕掛けてくるのかもしれないな…見に行くか?一応シャルルカンにマスルール、ヤムライハと他の武官達も行かせるつもりなんだが」
「あぁ、行く。臭い」
そわそわとしていれば、声をかけてきたのは案の定シンドバッドで振り返ればバルコニーにいる隣へとやって来たシンドバッドを見て
言われた言葉を聞き迷わずに言葉が出てきた
何処か臭うんだよな、と言えば背に付けた大太刀を直し服を直せば大きく伸びをしてからバルコニーの手すりに乗り
「もう三人は船に乗ってる最中だからな―――…って相変わらず早いな……それにしても、あいつは本当に何者なんだ…」
「何者もなにも、ルシリスはルシリス…って言われますよシン」
「ジャーファル、聞いてたのか」
「ずっといましたけど?シンがサボって逃げないように見張っているんです」
「……………」
そんな二人の遣り取りなど露知らず、バルコニーから颯爽と飛び出していったルシリスは港に見える大きめの船が出航したのが見えれば灯厘にシン達の方の守りをしろと伝えてから
魔法の絨毯を広げ乗れば、船の真上につけばそれをしまいかんばんへと降りた
「うおぉっ!?ルシリス?!」
「やあ、シャルルカン。俺も連れてってくれるか?ちょっと面白そうなことが起こりそうな匂いがするんでね」
「良いけどよ、虎はどうしたんだ?」
「灯厘?灯厘は置いて来た。今日は何処も色んな匂いがするからな」
シンの守りに回ってもらうと、言えばかんばん上の中への入り口の屋根の上に上がれば広い海を見渡した。
アル・サーメンに関係あるなにかなのか、それとも自分に関係あるのかそれはまだわからないのだが
何処か心臓の鼓動が早くなり少し苦しい気もするそれに胸元の服を右手で握り締めた。
嫌な予感が外れればそれはそれで良いし、当たれば当たったで面白いことが待っているに違いないと高鳴る胸を押さえつけ
大きく伸びをして
それから少し、島へと上陸すれば何処かおかしいすると途端に上がった砂煙の竜巻悲鳴三人と顔を見合わせ直様その場へと向かうも一番この中で足の速いマスルールは一目散に走ってゆき聞こえた大きな悲鳴
その一瞬で戻ってきたマスルール、その手にはモルジアナ。受け取れば少し離れた場所へとおろし
少し離れた場所に倒れていた白龍も同じ場所へと移動させた。
目の前に立つのは四人の闇の金属器使いたち
「あぁ…そいつは困るなァ…こいつら俺たちの…可愛い弟子なんでね!」
「し…師匠!」
マッチョな男に捕まった二人を助けたシャルルカン、アリババはモルジアナにキャッチされアラジンはヤムライハが受け止めた
「嬲ってくれたこと…後悔させてやるぜ死ぬほどなァ!」
「何よあいつら?」
「シンドリアの「八人将」じゃな。シンドバッド王の「眷属」と魔道士…それから、レルドザール王国の生き残り…」
「「八人将」…!?あいつらが…レルドザールと言えば剣豪達が夢みた国」
「し…師匠…ルシリスさんすみません…」
「攻略お疲れ様なアリババくん」
「あとのことは、任せてね。」
「俺たちで………ケリつけてやるからよ!!」
「ケリつけるだって笑っちゃう。」
「おい、マスルール「俺たちで」やるんだぞ。いいな?」
「ハイ、先輩………」
シャルルカンが言ったそのすぐあとだった
マスルールはその忠告を無視し一番背の高い男を蹴り飛ばし走っていった
「あーあ、怒ってる。けど―――…そこの男、お前……父の側近だった暗殺者だろ。裏切りアル・サーメンに命乞いした…シルフィー」
真っ黒いローブを纏い顔を隠していた人物。
ルシリスの声に反応すればそれを取り去った、両手に双刀顔片方に鬼のような面を付けたその姿
銀色の髪が靡く
それに口角をあげ笑った。ルシリスは腰の漆黒の剣を引き抜き
「あれは俺が始末する」
「え?あ、ちょっ―――…何なんだよ全く」
その一言を出せば一直線に相手へと飛んでゆき斬りかかる、がそれも易易と受け止められ
「そうこなくっちゃな……俺はお前が大嫌いだった」
「それは奇遇、俺もいつお前を殺せるかと待ちわびた。お前の母さんはそれはそれは綺麗だったし美味しく頂いた」
「…………」
双剣を弾き、大きく振りかぶれば相手もその速さについてこれず剣が相手の脇腹を掠る。しかし両手にある剣。隙も少ない
身を急いで引くが頬を掠った。
お互いに一本ずつ入った所で間合いを取る。
それを見たアリババはああなりたいと思ったとかなんとか…
「そういやあ、王を嬲って殺したのはこの俺だぜ?そりゃあもう、けど最後までアイツはお前のいる場所を明かさなかった。ま、お前目立つしな居場所なんて直ぐにわかった…今はシンドリアにいるんだろ?あぁ、じゃあ王…シンドバッドを殺してやろうか今度は。あぁ、楽しみだ。またお前の絶望した顔が見れるんだな」
「勝手にしたらどうだ?俺別にあいつにそこまで思い入れ無いんでな……第一俺より弱いお前にあいつが負けるわけ無いだろ。父さん殺したのだって卑怯な手使ったからだろ」
斬り合いは時々相手の体や顔を掠る程度で、しかも話をしながらお互い一歩も譲らず
間合いを取れば、剣をしまったルシリスは、その隙に飛んできた相手を背にある大太刀で吹き飛ばし
「虚偽と知識の精霊よ、汝と汝の眷属に命ず…我が魔力を糧として我が意志に大いなる力を与えよ!!マルバス!!」
振り上げれば空がどす黒く曇り稲妻が走る。
先程まで大太刀だったそれは巨大な槍に変わり、バチバチと雷を発し、武器化魔装程度でそいつには勝てると踏んだ。
剣と腕が変化し、鱗の様な金色に光腕に鋭い爪。肩には百獣の王たる証のふさふさとしたたてがみの一部。
全身魔装ではないものの、その凄い迫力にアリババもつい最近見た全身魔装を思い出し
それからシャルルカンの方へと意識を戻した。
ルシリスは一息で空中にいる相手の目の前まで移動すれば、ひと振り―――。
「相変わらず、弱いなお前」
「っ…く……」
それは届くことなく、同じく黒の金属器を発動させた相手
その相手の金属器に剣を弾かれ吹き飛ばされ、島に叩きつけられた。派手に受身も取れず、背中を強打した事で呼吸が上手く出来ずに噎せる。口の端から溢れる真っ赤な血液
それに加え、胸を大の大人の片足で踏まれれば、さらに呼吸などできず
「苦しいか?久々だろう、この苦しさ…今のお前はぬるいな…暗殺者時代のお前はどこいった?あの時のお前大好きだったんだぜ?俺。あの目、正にお前の父親…王に似てる、冷酷なあの目」
踵で胸を踏みつけたまま、まるで恋人を思う輩のごとく恍惚しているかの表情で自分を見下ろしている人物を睨みつけるルシリス
しかし、流石に呼吸ができなければ流石のマギの護人と言えどルフの流れに帰りかねない
その時、意識がそこで途切れた――――。