月影と愛されし君 magi

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シャルルカンがマスルールのことを何やら虐めていたので近付き制裁を加えると同時に
彼が退いた事により、後ろにいた人物が誰なのかがわかった。


それは前にあったことのある女性で、残念ながら顔を半分も布で隠してしまっているため顔全体を見る事は出来無い。
しかし、それでもこの間あった女性だと分かるのは何故か早かった。感覚的なものなのだろうか
あれから一回も見なかった彼女、この国に居るのならば一、二回会っても可笑しくはないと言うのに
何故か彼女の事が気になって仕方ない。
けれど、自分には好きな人物がいる。

それは、叶わないかもしれない男の彼で。
今彼女を見て思い出すのは彼の事ばかり、頭の中には今彼と今目の前の女性しか無い



ぐるぐるとひたすら、同じことしか考えられない頭だったが、少し離れた席の女に群がられているシンの姿を見ればそれは吹き飛ぶほどで




「「うわぁ。」」

「うわあーそれ僕もやる〜〜!」
「おっ、戻ってきたかアラジン、アリババくん、二人を待っていたんだよ。」




「「八人将」、集合だ!」





その一言で彼女たちははけていった。


が、しかし、一人を残して













 ― ◆ ―





「シンドリアの守護神「八人将」を紹介しよう。全員紹介する機会がなかったからな。こいつがその一人の〜〜…」
「私はバルバッドで紹介に預かりましたよ!」



酔っ払っている風なシン、まぁ酒臭いのは何時ものことで
それを流せば紹介をし始めた




「ジャーファルだ。普段は政務官だが、こう見えても特殊な暗殺術の名手で強いから、君達の修行の相手もきっと務まるぞ!」
「ご所望とあらば」

「マスルールはでかい剣を下げてはいるが、アリババくんの剣の師には向かないぞ〜〜小さい頃には剣闘士をやっていたが、やめてからさぼりっぱなしで剣術などからきしだ!」
「はあすみません」



座っている彼女は全く普通に大いに出した足を組みながら座り、何かを飲んでいる。
先程近くにいた時には、匂いがしなかったため
多分あれは酒ではないと思われる。多分果実酒かなにかだろう



「…………「けんとうし」とは?」
「レーム大陸で流行ってる格闘競技の剣士だな」

「呼んだか?シンドバッド王よ。」



喋っている三人と一人の女性、その後ろから現れたのはヒナホホで
次の酒を運んでいれば、彼の娘がきたがやはり自分よりも大きい。なんて思っていて



「北極の秘境、イムチャックの戦士ヒナホホだ!図体はでかいが、イムチャックの種族は皆こうなのだ気にするな〜〜」
「パルテビア帝国の元軍人、ドラコーンだ。龍の姿だが、元々は普通の人間だったし、誠実な男だ。怯えることはないぞ」



紹介は順調に進んでゆき、今度は後の四名となった。




「マグノシュタットのヤムライハ。」
「エリオハプトのシャルルカン。」
「アルテミュラのピスティ。」
「ササンのスパルトス。」

「彼らは、同盟国からワケあって一時預かっている王家の子息や、または、事情があってもはや自国にはいられなくなり、シンドリアに身を寄せてきた者たちだ。
アリババくん、君と似たような奴らかもしれないな」




それから何かを考え始めたアリババ




「それから忘れちゃいけないな、灯厘はシンドリアの者ではないがルシリスの相棒で――――、ルシリス」




何処からともなく現れた大きな白虎は、彼女の隣に座った。
まさか、と思ったときには

目の前の彼女は、薄布を取り妖しく笑っていた



「ふふ、バレてはいると思ったけどな」

「え?」
「「え?え…えぇ!?」」



しかし、驚いているのは其処にいる数名。
名前を上げれば、シャルルカンにアリババ君に私だけ
何故?とシンを見れば笑われた。



「俺の昔の職業思い出せよージャーファルにシャルルカン。これぐらいお手の物だぜ?最も……あの子達に言われなきゃするつもりなんて微塵もないがな。それよりシン…お前殴ろうか?」
「ん?なんの事だ?良いじゃないか、これをされたい女は沢山いるのにお前は独り占めだぞ?」
「俺は女じゃないし、お前の膝に乗せられても嬉しさの欠片すらない。下ろせ触るな」


「え…え…っ!?」



未だに理解できていないのか、シャルルカンが変な顔をして悩んでいる
その隣でヤムライハが馬鹿、と笑っている。
が、しかしそこから喧嘩に発展しないほど彼は悩んでいるようで


私も全く気付かなかった。



けれど、それでもシンが膝の上に乗せて腰に手を回しつつ尻を触っているのが頭に来れば後ろから取り上げて灯厘の上に本人は乗せておいた。
何処からどう見ても女、胸もあるし
じゃあ今までのあれは男装していたのかと



「俺は今女装してるんだ。俺は列記とした男だからな、これは俺の…魔法による魔装みたいな原理のもん。女の体に見た目だけすることができるんだ…滅多に使わないがな」
「そういう、事ですか……じゃああの時あったのはやっぱり貴方だったんですね。騙すなんて…」
「騙すつもりはなかったさ、けど俺がバレたくなかっただーけ」


くすくすと笑う彼は本物の女以上に女らしいとさえ思った。



「なあ、その胸本物か?触らせ――」
「駄目」

「えぇ――!!なんでだよ!」

「駄目なものは駄目だ、嫌だ。アラジンそっから飛んできたら蒸発させてやるからな」




シャルルカンのそれには即答で却下しつつも、腕を組んで足を組んでいればそれはもう誘っているようにしか見えないのだが
きっと彼女…彼は無意識なのだろうから、恐ろしいと思う。

後ろから密かに近づいていたアラジンだったが、その一言で固まって動かなくなった。

姫というよりは、女王様←
(何か言ったか?byルシリス)

大人組は大人組で何やら話しているようで



それから、大きな火柱と共に宴は終わりを迎えた



何時の間にやら何時もの服装に戻っていたルシリスは、灯厘と共に宴の片付けをしていた。







 

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