月影と愛されし君 magi

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海獣の咆哮と騒ぐ国民たちの声

その前に現れたのは八人の将達と、一人の金髪の見目麗しい男の姿
その姿を見るなり、騒いでいた国民たちは更に盛り上がり、そして今回選ばれたのはシャルルカンで


シャルルカンの姿を捉えたオオウツボはその首を持ち上げ唸り声を上げるも一瞬にして彼の眷属器によって捌かれてしまった



「す…すっごく器用なんですね!」

「「目立ちたがりやなだけよ/だけだろアレは…」」



見事にハモった二人は顔を合わせて、ルシリスは微笑みヤムライハは真っ赤になった。
そんな様子にアリババは苦笑しつつも、羨ましげにみた


八人将が集まった所へ、シャルルカンも戻ってきて




「という訳で…こいつが君の剣術の師匠シャルルカンだ。」
「よろしく!」

「(ルシリスさんじゃなかったんだ…剣持ってるし、あの時見たとき…強いのはわかったし、それにどう考えてもあの人が持ち上げられ無さそうな大きな剣持ってるし……って、え?)」

「どうしても剣術が上手くなりたくて、指南役を捜してたんだって?」
「ハイ!」




アリババがルシリスの方を向くと、目が合い微笑まれ顔を赤くした


ずいっとアリババに顔を近づけたシャルルカンは、アリババにそう言えば得意げに笑い
ちらりとルシリスを見た。が

しかし、ルシリスは全く違う方向を向いて別人と話していたためにすぐに向きを変えて




「そうか…そんなに剣術が好きか。剣の良さが分かるなんてなかなかみどころがあるじゃないか。」




首を上下に振り頷き嬉しそうに話すシャルルカン
アリババの肩に腕を乗せて嬉しげに話し始めた



「………………」

それを見ている一つの影




「アリババくん、そいつとしゃべると剣術バカがうつるわよ」
「………………」

「………何だよ……」

「何よ…」



お互いがお互いに睨み合い喧嘩を売り合い
しまいには、利き手がお互い自分の武器にかかっている



「魔法使いってのはこれだから困るぜ…魔法しかできねぇ貧弱でエラそうな奴には、剣と己の腕で高みへ昇る美しさがわからねぇ。 剣こそが最強だ!」

「魔法こそが最強よ! 鉄の板切れ振り回して自分に酔えちゃえるような人種にはわからないでしょうがね…あんたの「眷属器」の能力だって、原理的には「魔法」なんだからね!」



「剣術だけでも、俺はお前に勝てるけどな。」
「なんですって…やってみなさいよ!」



猫の如く売り言葉に買い言葉で、取っ組み合いの喧嘩を始める二人

あーあ、女の子にそんな乱暴できるやつはモテないな。うん
俺にはどうでもいいけどさ
でも、二つとも使えちゃう俺ってどうなるんだろうかな?今度喧嘩したら説教と一緒に聞いてみようかな。
別に俺自分に酔うなんて出来ないけどさ


それをやれやれと言った目で見るルシリスと楽しげに見るシンドバッド。
そして、二人の師匠の誕生
今すぐにでも特訓に――…なんて雰囲気の二人だったがシンドバッドに宴を楽しもうと言われれば素直に宴の準備へと向かった。




俺が話に入ってなかったって?
なに、俺これからの事が嫌で嫌で仕方ないんだよ。うん本当に










 ― ◆ ―







宴の途中であの例の三姉妹に捕まれば、さっさと着替えさせられて
しかし、この服装は露出が多いため魔法で隠さないとならないため溜め息を吐きながら魔法をかければ前側の重みと身体の重さに苦笑した
何故か何時も女の体に変えると、胸がでかい…と呟きショックと後悔が上がってくる


「流石、体つき変えただけで本当に姫君のようですわっ」
「えぇ、見間違えるほど…」

「これなら、誰も気づきませんわ」



髪は結う程もなかったが、多少サービス。と少し長くすれば結われ豪華な髪飾りで飾られ少し重たい。
目の下から淡い桃色の薄布をつければ、パッと見誰だかは分からない

そうすれば、三人は満足したように微笑みルシリスの背を押して外へと出て行った。
祭りの音は大きく盛り上がっているが、通りすがる人々全員が振り返りその姿を見る
所々でもらう食べ物を抓みつつ、花を渡されればそれを三人に配れと言われ
渋々それを配って回ることにした


「流石……半端ない盛況ですわ…」
「あんまり調子に乗るとバレるだろ…もう、着替えたい…会いたくない……」


と、一人で歩いて行けば舞台が見えて見知った赤髪の女の子が踊っているのが見え歩いて行けば



「モルジアナか…綺麗な踊りだな…俺もひとつ―――」

「あ、あれ?」

「ん?」
「あ、ちょっ、ちょアラジン!!!」
「っと……」
「っ、おねいさん…やっぱり!おねいさんだったんだね!」

「「はぁ?」」



アリババと目が合えば、あっという顔をされ首を傾げれば飛んでくる小さな物体を躱して避ければ髪飾りがシャラシャラと鳴る
さして、地面に伏せったアラジンの回復は凄まじく
一瞬で戻ってきた



「ルシリス………さ、ん?え、でも…あの人男……じゃ…」

「でも、アリババ君間違いないよ。ルシリスさんだよ」
「え、なんで分かるんだよアラジン」


「……………」



バレたくはなかったため、横を通り過ぎれば舞台へと上がり一曲踊った。
遥か昔、自分の母親が踊っていたのをうろ覚えで踊っているのだが何故か全部踊れた気がして曲が終わればさっさと舞台の後方から姿を消した




「凄い、綺麗…だったなアラジン」
「ね、あんなおねいさんの顔初めて見たよ。でも何処か寂しそうだったなぁ…」
「あんな笑ってたのにか?」


二人はそう会話をしながら、祭りから少し遠ざかっていった。



「モルジアナ」
「は、はい………?…ルシリスさ、ん?」

「おう、俺だよ。これ魔法だから偽物」

「そ、そうなんです、か……」


「それよりどうした?」



なんて話をしていれば、前方に二人

モルジアナはマスルールに大皿を渡されて、座って食べ始めていて
そんな所、何処吹く風と歩いて立ち去ろうとすれば掴まれる腕



「っ?」
「…………此処、座ったらどうすか…」
「……じゃあ、お言葉に甘えて」



なんて微笑みながら言えば、隣の白髪の彼が黙っているはずもなく



「え、ちょ…!?マスルール誰だよその人!」
「…誰って………」

「初対面ですよ?」


言葉を遮るようにそう言えば、微笑んだ
流石に此処は王のいる場所なために、ぞろぞろと八人将たちが集まってきて
シャルルカンがマスルールに何やら問いただしつつ、その対応が頭にきたのか頬つねったり首絞めたりしていれば



「後輩いじめんな!」



重たいジャーファルの鉄槌が落ちた所で



「あんたが俺殴るのはいいんですか、ジャーファルさん」
「はっ、そうですね」


三人でそんなことをしているのを眺めていれば、笑みが溢れてきて笑えば
そんな声も、隣の集団にかき消されることとなった





 

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