月影と愛されし君 magi
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それから一日程経った日
あまりに詰まらないものだから、灯厘と昼寝をしていると一つの気配。此処は森の中なのだが…と
匂いがして動けば、木の下に居たのはマスルールとモルジアナで
こんな平和なのに、何があったのかと見れば
「どうしたんだ?そんなに急いで…」
「シンドバッドさんが、帰ってきたみたいなんです」
「あー…シンな……」
「え?」
「あー、なんでもないよ。マスルールとモルジアナは行けよ。俺あとで行くから」
溜め息を吐いたルシリス、首を傾げるモルジアナだったがマスルールに呼ばれれば直ぐにその後を着いていった。
そんな後ろ姿を眺めればそのままもう一眠りし始める事にした、のだが…どうにも二度寝できない
それに、城の方では俺を探している声が聞こえて耳を塞いだ
今日は何時もと違う木の上だから、探しに来ないで欲しい。
彼が帰ってきたのなら尚更本当に俺は嫌だ
ガサガサ
「!?」
「……みつけた…」
「っ…」
草木が揺れれば、顔を出したのは末の子リリイ
「あ…っ」
大人気ないが、さすがに逃げない訳には行かない。
そう思えば早く、身体はさっさと動いてその場を一瞬で離れれば姿は見えることなく、しかしあれの姉妹が見当たらない。
そんなことにも気にする事なく離れれば、王宮の廊下へと着き歩けば後ろから近づく影
「わッ!」
「………気配ぐらい消せよ、シャルルカン。そんでもって暑苦しい」
後ろから首に腕を回して抱きついてきたのは、自分よりも背の高い褐色の肌に良く合う白い髪の彼。シャルルカンで、少し…少し身長の高い彼を見るにはどうしても見上げなければならない
まともに気配も消してこなかったため、気づいてはいたが放置していて。
そしたら、この有様。流石に相手の鼓動、体温が直接伝わってくるこの体勢は嫌いでもないが暑苦しい。
帰ってきてそうそう何なんだ、と溜め息を吐けば
「長いこと離れてて俺寂しかったんだぜ?」
「んー、そうだな。数日だがな」
「冷てぇーな、ルシリスサンは」
「そうか?これが普通だと思うんだが。そろそろはなさないか?暑いんだって言ってるだろ」
「んでも、アンタなら離そうとすれば俺なんか直ぐに振り払えるだろ?」
猫の如く擦り寄ってくる相手に、デコピン食らわせれば腕から抜け出す。
しかし、それも叶うことなく腕を掴まれ柱にそのまま押し付けられ目の前には相手。しかも、獣のように目を光らせていて
逃げ場も隙もない
「なぁ…あれの、答えは――?」
「んっ…ん…」
「あぁ!!ルシリス様――って、あ、お取り込み中でしたわっすみませんっ」
答えも聞く暇もなく、口を塞がれ目を見開けばバタバタと走る音がひとつ声をかけてくるも今この状況に逃げるように離れつつもすぐ近くの柱に隠れている彼女。長女のルイス
目を閉じれば唇を割って入ってくる相手の生ぬるい舌は、腔内を暴れまわり上あごをなぞられればくぐもった声が漏れて
動けないため、手を握りしめて呼吸がうまくできず酸欠で軽く意識が遠のきかければ
それを察したのか、それとも満足したのか相手の口が離れ唇を厭らしく舐める。
しかし、そんな相手の表情も酸欠で頭の回らない理性の薄い自分には十分な刺激で相手の首に腕を回せば自分から舌を絡めた
「んっ!?」
「ん…ちゅっ……」
「んん…ど、したんだよ…っ」
はじめは驚いていたものの、寧ろシャルルカンはルシリスの後頭部に手を回せば更に深く絡めてゆき
「―――っと……」
流石に限界だったのかそのまま酸欠で意識を飛ばしてしまえば、シャルルカンは驚きつつ抱きとめてそのまま部屋へと送り届け。
「……悪かったな…んでも、拒まねぇっつーことは期待してもいいのか…?」
「…………」
「なんでだろうな、アンタの顔見るとキスしたくなる…」
眠ったままの相手の額にキスをすれば、そのまま部屋を後にした