月影と愛されし君 magi

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「たっ!」




そうしてジュダルが指さしたのは、アリババで
驚いたような、何とも言えない顔をした彼、自分が?と

そんなような顔をしている。

しかし、アラジンが認めているのはアリババだと思うからそれは良いだろう


「(後は、ルシリス…か……。)あれ?なんだ俺、お前の事知ってるぞ?お前あれだろ……昼間、アブマドの豚にいじめられてた奴だろ!」

「!」

「あん時のお前…みっともなかったよな〜〜〜!あんな必死こいてわめいてたけど、全然聞いてもらえなくて…しまいにはウジ虫呼ばわりされて泣いてたよな〜!ほんっとお前って…情けないやつ………」


昼間あった事を全部話すジュダルは、吹き出せば笑いを堪えるようにそう話す。
アリババは立ったまま、両手を握りしめている。
あまりにそれが強くて軽く触れれば

驚いた様に手を緩める彼
見上げれば目が合う



「情けなくなんかない!!!」
「………あ?」

「アリババくんは情けなくなんかない!僕は知っている!!アリババくんは自分が認められないかもって、最初から知ってたよ。でもみんなのために、怖いのをがまんして、今まで誰もできなかったことをやりに行ったんだ。 勇気がある人なんだ!!彼は決して情けなくなんかない!!」

「アラジン…」



アラジンは真っ直ぐにそう、アリババを評価した
確かにそれには賛成できる。
彼は見所のある人間だと思う、だからこそ

ジュダルであろうとそれは言ってはいけないことを、アラジンの目の前で言ったわけで


しかし、その瞬間ジュダルの持っているそれがアリババの腹を直撃。すかさず倒れる前に受け止めれば謝られた
アラジンは前に出て杖を構えた―――




「へっ、やる気かよ?」





アラジンの周りには白いルフが集まり、光を発し風を起こす

しかし、沢山人がいるこんな所でそんな
マギ同士の戦いなんてすれば、一般市民はたまったもんじゃない



「やめろ!!やめるんだ二人とも!!」
「……………黙ってな、シンドバッド。これは、「マギ同士の戦い。」人間が口出し無用。シンドバッドは「金属器」一つも持ってねぇが…ルシリスはもう一つ増えてる…俺があげた剣に入ってる奴」

「………」



流石マギの目…金属器全部見分けられるんだろう

モルジアナとアリババの前に立てば、危ないとモルジアナが言うが微笑み頭を撫でる。



「それに、ルシリス―――…お前、マギでもねぇのにルフの加護受けてる意味がわかったぜ、そりゃあさぞかし親父どもも喉から手が出るほど欲しいわけだ」

「何の話だ、ジュダル」

「あ?本人に聞いてねぇの?ま、お前みたいなやつには話さねーかもな。ルシリスはソロモン王に愛されし器。俺らマギよりも貴重でマギと一緒に数千年に一度現れる、マギの護人(もりびと)。
だから力も尋常じゃねぇ、最終的な王お選ぶマギを護る…それがマギの護人だ。ルシリスはその人間っつーこと」

「…マギの護人……?」
「…………」


「なぁ、こんなチビじゃなくて俺にしろよルシリス!」



ジュダルは長い文をスラスラと言ってゆく。

マギの護人、そんな役職のせいで俺の親は殺され故郷は消えた。俺がそんなものに選ばれたせいで
家系的に、何十代に一人があの国の王として…マギの護人として生きてきた。
役目を果たせば、普通に暮らせるから然程変わりはない

返事をしないルシリスに、ジュダルは前を向きアラジンを見る



「お前がいなくなりゃ、良いんだな―――」



マスルールの蹴りも、防壁魔法によってジュダル本体に当たる事はなく跳ね返される。
ジュダルの頭上をひと飛びで超えれば、シンドバッドの方へと移動する




「全くシンが盗られなきゃ俺が動くことなかったのに、仕方ないから俺があの餓鬼の喧嘩止める。だからなるべくほかの人間は逃げるように促してくれるか。」

「あぁ、分かった――…だが、何だ…マギの護人とは……」
「俺の強さの秘密」


振り返り微笑んで見せれば、直ぐに前を向けば
アラジンをジュダルの雷魔法から守るようにして、現れたウーゴの姿
しかしジュダルは此処、霧の街バルバッドの霧を集め水にすればそれを一気に巨大な氷に変える。



そしてその氷が小さな氷を産み出し、あたり一面を突き刺してゆく



「くらえ「降り注ぐ氷槍(サルグ・アルサロース)」!!!」



大太刀を抜けば飛んでくる氷槍を斬り落とし、ひと振りして水分を飛ばす。



「シン!!急げ」
「っ、わ、わかってる!」


振り返りシンドバッドにそう言えば
更に飛んでくるのを、人に当たるのだけを斬り落とす。だが大量に飛んでくるため全部は防ぎきれない

その時、ウーゴの巨大な手によってジュダルが吹き飛ばされた


ジュダルの攻撃により、ウーゴの背中に巨大な氷が何本も突き刺さる。それを見たアラジンは急いで上によじ登り笛を吹き魔力をあげる
そうすれば忽ち、力を得た彼は氷を弾くように抜けてゆく

しかし、その穴から沢山の、魔力がそのまま垂れ流しになっていて様子がおかしい




「……………とんでもねーなそいつ!でも、効いたみたいだゼ。見ろよ…穴から魔力がもれてるぜ!」



それを見たアラジンは必死に笛に戻そうとするも、ウーゴは膝をつき上に乗っていたアラジンが振り落とされた
直ぐにアラジンに攻撃が降りかかれば、モルジアナが救出し、アリババがジュダルへと飛んでゆく



「アリババ君!!!」



無茶だ無茶だ――!
お前じゃ力が足りない、勝てるわけない…あぁ、俺が出ないとダメだ

そう思った瞬間、アリババの剣がジュダルの防壁魔法を突き破り頬を掠る。それで頭にきたのか杖をひと振り周りにいた人間も含めて吹き飛ばした



「空気の壁(アスファル)!!」



瞬時に空気の壁を作り出せば全員をそれで受け止める、それならば少しは衝撃と体への負担を減らせる



「手、出すな。死ぬからな」
「え…?」

「…………」


ジュダルが何か叫んでいたが、その背後に巨大な影

一瞬でジュダルが吹き飛んだ


そして、休む暇もなくウーゴからの攻撃は続く



「おいチビ!!その「ジン」卑怯だぞ!!さっきからお前は自分の魔力をそいつにあたえてないじゃないか!」



そう叫べば、氷を作り飛ばすもその腕に破壊され地面に落ちる。
気をひきつけ、胸に巨大な氷で貫くも
ウーゴは止まることなく、腕を大きく広げ


そのまま油断したジュダルをその大きな手で握りつぶさんばかりに握り締めればジュダルの防壁魔法も粉々に砕き
本体をも握りつぶす




「ジュダル!!」



叫び声一つ、地面に落ちる彼があまりにもゆっくりに見えた
しかし、それでは飽き足らずそのまま腕を真上に振り上げた巨人はそのまま腕の周りに力を貯める



走馬灯、過去が蘇る。
その瞬間口が勝手に動き、構えた





「まずいっ全員逃げろ!!ルシリス!?」

「!?」



「忠誠と真実の精霊よ、汝と汝の眷属に命ず…我が魔力を糧として我が意志に大いなる力を与えよ!!出でよマルコシアス!!」




剣を振り上げれば凄まじい業火が身体を包み、右腕全部を覆う漆黒の毛皮と長い指に長い爪に握られた巨大な剣(つるぎ)
相手がその腕を振り下ろすと同時に

真下へと消えていった――――。



「――――ッ!!!」



全員が避難した時には既にその場には、ウーゴの姿しか見えない






 

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