Seven Deadly Sins

□11夜
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中へと三人を通すと、大きな机の反対側へと座った。


「それで、話したい事でもあったの?」

「おねえさん、煌帝国の人にしてはルフが白いなって思ってね。後会った時何となくルフがざわついたんだ、それが気になって来てみたんだけどおねえさん迷宮攻略者…かい?」

「そんないっぺんに質問されてもわからないだろ、すいませんこいつが」


慌てたように、アラジンへと突っ込みをするアリババ。
アリババ、君…ね。


「ふふ、良いよ。それに、君マギだろう?シンドバッドの?」
「おじさんにはつかないよ、お姉さん凄いやすぐ分かっちゃうなんて」
「私の金属器は隠してあるからな、分かるのはマギくらいだ。うちにもう煩いのが居るよ。それで、私の話だったか」


少し、身の上の話ならば
当たり障りのない話なら、話しても良いか

大きく呼吸をし、机に頬杖をつき笑顔を作れば口を開いた。


「今言ったように、私は金属器使いだ。それも君が持っているものとはまたちょっと違うらしいけれどね…5つあるけど、隠してある。持ち運びが面倒だからな、皇女って立場もあるし紅玉の簪と違うからね」

「俺のと違う?って、その前になんで俺が……」

「君、アリババ・サルージャだろう?バルバッドの…今は兄上が仕切っているけれど」



思い出した。

紅炎が話していたな、そういえば。
バルバッドに少し気になるやつがいると、とはいっても彼が原因でお蔭で紅玉はあの豚につかなくてよくなったわけで、煌に居場所がなくなったわけで

第一に、彼の国は今ほぼ煌の物になっている。

目を細め、目を伏せた。


空気が少し沈んだ其処に、全員に飲み物を持って入ってきた鈴嶺。
顔を布で隠しているから表情は読めないが、少々この国に来てから不機嫌だ。



「でも、君は全身魔装はまだ出来ないようだね」


クスクスと笑えば顔を真っ赤にして俯いてしまった。
なんだ地雷だったか、悪いことをしたな
足を組み直せば、アラジンを真っ直ぐに見た。

どこか見た事あるような雰囲気で……懐かしいような。



「ねえ、おねえさんはどうしてその格好をしているんだい?」


真っ直ぐにこちらを見て、アラジンがそう言った。
目を細め、椅子の背もたれに寄りかかればそのまま背凭れの上に後頭部を乗せ上を見れば

途端に湧き上がる笑い


「ふっ、ふふふ…そんなに気になるかい?マギよ」
「気になるよ!」
「そうだな、ならばそれ相応の対価はあるのか?」


ふと、笑いが無くなれば椅子に座り直し、右手を差し出しそう問うた。

対価、と言われ固まった三人。


「対価が出せない者に話すことはない。対価なら、何でも良い」


右手を前に出したまま、そう続けくすりと笑った。



「それなら、おねえさん。アリババ君の稽古に付き合うのなんてどうだい!?」
「はぁ!?何言ってんだよアラジン!!今言われてるのは――」



「アリババ君は私と稽古するのは嫌?」


「え、ええ!?い、いやそんなことはっ!」
「なら交渉成立だ。君が聞きたいのは、私の性別だろう?」


アリババが答えられずにいたのを肯定と受けとり、微笑みまた座り直し足を組み直した。

話さないというなら、この子達に教える事くらい
痛くも痒くもないからな



「親の趣味、と風習から。俺は男だからな」
「うん、だよね。」
「え?」
「!?」

「そんなに驚くことか?胸あるわけでもないしよく見ればすぐに分かることだろ?」


男の口調で、いつもよりももう少し低めの声で喋れば
驚き固まるアリババにモルジアナ。
アラジンはやっぱり、と云うように頷いた。


「さて、この事は内密に頼むよ。もしバラすような事があったのなら、俺は権力と武力の両方で君達を潰さなきゃならない」


それは流石に心が痛む、と言うと三人共勢い良く頭を上下に振った。
物分かりのいい子供で助かる、面倒くさいのはごめんだからな。
飲み物を飲み干し、カップを机に乗せれば立ち上がった。


「じゃあそろそろいいかい?疲れたからもう休みたい」



また明日にでも遊ぼう、と言い三人を外へ出してその日は静かに過ごした。





 ― ◆ ―



翌日朝早く、この国の武術が出来る場所聞くところによると銀蠍塔と云うらしい場所へとついた。
結構広い塔に4人、まだ朝早く誰もいないその場所


「早過ぎましたね、紅藜様」
「これくらいの時間の方が丁度いいんじゃない?さて、三人ともいつも通り宜しく」

「3日ぶりだね!!僕も本気で行くよ!」

「お手柔らかに」


コツコツとヒールを鳴らし、中心へと移動すると振り返り入り口にいる三人へと声をかけ
胸元を少し開け、刺青から出てくるのは薙刀。

白龍の偃月刀よりも少し長い真っ黒の毛が靡く薙刀。
細やかな装飾のされたそれを一回転
石突を床につけた途端一斉に飛び出して来た三人。

銀嶺が双剣、鈴嶺が細く長いサーベル、秀嶺が鎖鎌。
近距離中距離長距離、全てを一人ずつが受け持つ。
三人が本気で一気に飛び掛ってくるのを、受け流しながら立ち回る。



「紅藜様!」
「何、銀嶺」
「何があろうと、どんな道を進もうと俺達は貴方様だけについていきます。それ以外はいりません…ルフの流れに帰ろうとどこまでもお伴致します、だから…だから置いて行かないでください」

「………ふふ、嗚呼お前らを置いて行ったりはしないよ。多分ね」


「多分じゃ駄目ですよ」

約束はしてやれない、と秀嶺の鎖鎌を避け鈴嶺のサーベルを避ければ銀嶺の双剣と鍔競り合いになり
先に口を開いたのは銀嶺で、声は微かに震えていた。
何が心配なんだろうか、良い歳して……。

薙刀の黒(こく)を魔力操作で強化すれば、直ぐに離れた銀嶺。


何だかんだで使えるこの技。

武器が壊れるのも防げるからだいぶ助かる
そう何度も何度も武器を変えたくないし。


そして、鈴嶺の首もとを取ったところで終わった。

急に、銀蠍塔の入り口から音がした。
そちらを見れば、そこに居たのは固まったアリババとシャルルカン、それから…確か彼らは八人将達。
その後ろから出てきた




 

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