ふわふわり

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それから麦わらの船に行っだ頃には夕方

広くはないけど快適そうな船だ

サンジさんがご飯を作ってくれてる間、私は尋問された

けどご飯がどんなのか見てからじゃないと嫌だったからすべてはぐらかす

芝生の上であぐらをかいて足の間に置いたチョッパーを撫でてると、居眠りしだしたチョッパー

それを見てルフィが羨ましいとか言い出したからビンタしておいた

それから適当に麦わらのやつらを見てた

ほかの海賊とは違う

白ヒゲの親父さんの船にものすごく近いけどそれもまた違う

なんだかおかしな海賊たちだ





「できたぞ!女神ちゃんがいるからごちそうだ!!!」

「うひょー!!!肉だ!!!!」

「あ、コラ、待て!!」

「黒い女神さん、早く行かないとなくなるわよ」

「なら私は話さないだけだよ」

「サンジくん!ルフィから料理死守して!!」

「仰せのままに〜!」





私の足の上で寝るチョッパーを放って行くのもなんだか気が引けたから抱き抱えてサンジさんとルフィの声のした方へと目を向ける

離れたところで刀の手入れをしてたゾロさんにも一応行かないかと声をかければ隣にあった酒瓶を持って立ち上がってくれた

ゾロさんと私が階段を登ったデッキに着くと、そこには縄でぐるぐる巻きにされたルフィ

もうルフィ以外は席についてた

私も、サンジさんが椅子を引いてくれたからその椅子に座る

その隣の椅子にはチョッパーを

隣にゾロさんが座ったらサンジさんが回し蹴りくらわしてたけど頭を下げて避けられてた

テーブルに並べられた料理はいろんな種類があって、全部が美味しそう

これといって好きな料理も嫌いな料理もない私にとってはものすごくいい

さてどこまで話そうか

おいてあったグラスにお酒が注がれる、隣から

そちらを向けばさっきゾロさんが持ってきたお酒を注いでくれてた





「それゾロさんが飲んでたのだよね?」

「お前酒は飲めるのか?」

「それ普通注ぐ前に言うことでしょ。あと質問無視なのね」

「なんか文句あんのか、そんなの気にするようなたまじゃねえだろ」

「飲みかけの酒を人に注がないでよ」

「気にすんな」

「たしかに気にしないけども」

「うふふ、昼間のやりとりが嘘みたいね」

「今はどうでもいい」

「じゃあ俺の腕によりをかけた料理召し上がれ、女神ちゅわーん!!」

「サンジのくねくねさがいつもの倍以上だな」

「ハートもな」

「ヨホホホ、ではワタシは楽しくなるような音楽でも演奏しましょうか」

「俺にも肉くれよー!!!」

「ちょっとアンタは待ちなさい!」

「美味いかよ?あんなんでも料理だけはうめえからな、アイツ」

「テメエは食わなくてもいいんだよ、クソマリモ!!!」

「あ"ぁ!!?」

「……おいしい」

「、え?」

「久しぶりにおいしいなんて思えるものを食べた気がする、本当においしい」

「…………」

「あ、」

「サンジが鼻血吹いて倒れたぞー!!!」

「チョッ、寝てるじゃねーか、うちの船医」

「こういう時は首の後ろトントン叩くんじゃねーのか?俺がまだスーパーになる前はそう言われぜ」

「それは間違えた対処法、鼻を摘んで下を向いておくのが1番いいとされてる。洗濯バサミでも鼻につけて座らせてたらいいと思う」

「わっ、わかった」

「さすが俺を助けただけのことはあるな!」

「これくらい初歩だよ」

「ていうかお前の腰のバンダナ、どっかで見たことあるぞ、俺。……たしか、」

「ほら肉だよ、貴方はこれでも食べててね」

「!ふぐっ、」





ルフィがいらないことを言いそうだったから近くにあった骨付き肉をルフィの口に無理矢理押し込む

最初はビックリしたような顔してたけど、すぐに目を輝かせて飲み込んでた

あれ?それ、たしか骨付いてたよね?


前の席に座ってたロビンさんが急に私にリンゴを差し出した

真っ赤なリンゴ

不思議に思ったけどそれを受け取って一口噛じる

彼女は楽しそうにまた笑った





「じゃあそろそろ女神さん、貴方のこと教えてくれないかしら?料理美味しかったでしょ?」

「…なにが聞きたいの」

「まず名前なんてんだ?まだ聞いてねーぞ!あと肉くれ」

「ちょっと黙ってて」

「リーダ・ライアニア」

「昼間の、なんでルフィの技とか煙野郎、あと青雉の能力が使えたんだ」

「私の能力だよ」

「なんの実を貴方は食べたの?」

「コムコムの実、キスした相手の技も能力もコピーできて自由に使える。悪魔の実の能力はどこかその相手に劣るけどあとは完璧に」

「!お前ルフィとキスしたのか!?」

「俺してねーぞ!!!」

「ルフィを助けるのに人口呼吸した、それでだね。私もしたくてしたんじゃない」

「チートな能力だな、そりゃ」

「私以上にチートな能力持ったやつもいるよ」

「じゃっじゃあ、海軍のアイツらともキスしたのか?」

「1人はお代で、1人は無理矢理されたの」

「お代?」

「私は治療、薬、情報のお代としてお金はもらわない。今みたいに私にとって得があるかないか、それだけ。スモーカーのは逃げるのとか昼間みたいに捕まえるときに楽そうだったからお代にしてもらったの。……ほら、これあげるよ、ナミさん」

「!え、あ、これ、」

「たしかドレークさんからもらった宝石。綺麗で気に入ってたけど飽きたからあげる、宝石好きなんでしょ?」

「あっありがとう!!」

「じゃあ、昼間私の説明で貴方は足りないって言ったわね?なにが足りないのかしら」

「私の能力、能力をもらう時記憶も覗けるんだ。それで情報をうったりもしてるわけ」

「へー、」

「あとは?ないなら終わるけど」

「お前やっぱり仲間になれ!!!」

「またそれ?私なんか仲間にしないほうがいいよ」

「なんでだよ!!」

「私はいま利益があるものを海軍からもらえば、簡単に貴方達の居場所を教える」

「「「「「!!」」」」」

「私はそのおかげで捕まらなくて済んでるからね、今までに私のせいで監獄にぶち込まれたり首が飛んだりしたやつは数え切れない。私の動く第一条件は利益があるかないか、それだけだよ」

「それでもいい!!!!」

「よくない。たしかに普通のやつらなら入るんじゃない?こんな楽しそうで幸せそうな海賊団なんて数えるほどしかいないんだから」

「!!なら、」

「"普通のやつらなら"ね。それに誰かの仲間にはならないって決めたんだ」

「…俺は諦めねーからな!!リーダが明日この船を降りるまでにその意思変えてやる!!!!」

「どーぞ、そんで早く諦めて」

「その前に肉だァァアア!!!!!」

「!!ルフィが縄から逃げたぞ!!早く腹に掻き込め、食われちまう!!!!」

「食事くらいゆっくりさせてよね、ホント!」

「うふふ、さすがね」

「あ、コーラまで取んじゃねえ!!!」

「たーのしいですね、ヨホホホ!」





またどんちゃん騒ぎしだした麦わら

隣のゾロさんは周りの肉をリスみたいに頬張ってる

途中で起きたサンジさんも参戦して、もうご飯どころじゃなくなったからゾロさんが注いでくれたお酒をちょびちょび呑みながら傍観者になることに

注いでくれたお酒は結構強かった

どんちゃん騒ぎを見るのも飽きて夜の真っ暗な海をぼんやりと見てたらいつのまにかグラスは空

ほんのり酔いがまわってきたみたいだ

少し生暖かい海風を感じながら目を閉じてたら頭に軽い衝撃を感じた

まぶたを開けてみると緑がまず目に入る

どうやら頭を軽く叩かれたらしい





「酔ったのか?」

「……久しぶりに呑んだから酔いが少しまわっただけ。…あれ、ほかのやつらはどうしたの?」

「ルフィとウソップは床で寝てて、コックは明日の料理の仕込み、ほかの奴らはもう寝に行った。ボーッとしすぎだ、てめぇ」

「そう。ゾロさんは寝に行かないの?」

「さすがに酔ってそうな奴を放って行けるかよ」

「意外と優しいんだ」

「意外とってなんだ、意外とって」

「そのままの意味だよ」

「…お前酒強いのか?それ強かったろ」

「確信犯か。まぁものすごく強くはないが弱くもない、普通より少し呑めるぐらいかな」

「じゃあ付き合えよ、俺はまだ呑み足りてねえ」

「、仕方ないなあ」





さっきのグラスを持って下の芝生に降りながら話を聞いてみると、今日は見張りらしい

それでいいのか見張り役

適当に芝生に座ってグラスを渡せば無くなったのかさっきとは違う酒瓶でお酒を注がれた

グラスを手渡されて、乾杯する

ああ、これもまた強いお酒だな





「お酒強いんだね」

「よく呑むからな、酒が好きだ」

「…私はあまり好きじゃない、美味しいとも思わないなあ」

「じゃあなんで呑むんだ?」

「酔う感覚が好きだからじゃない?あと今みたいに付き合いかな」

「そうか。にしてもお前もおかしいな、昼間あんなにキレてたやつと酒飲むなんて」

「その言葉そのままそっくり返してあげる。あんなに猫みたいに警戒心まるだしだったのに」

「惚れたから仕方ねえだろ」

「ふーん。………は?」

「ん?」

「もう1回さっきのセリフをゆっくり言ってくれない」

「惚れたってとこか?」

「頭大丈夫?こんなのだよ?この船にはもっといい女が2人もいるじゃない」

「アイツらは仲間だ。俺より強いし、酒も強い、惚れるのは当たり前だろ」

「殴るよ」

「それにお前は昼間も言ったが悪い奴じゃねえ、自分の"道"をちゃんと持ってる。そういう芯の強い女は嫌いじゃねえ。俺だって今日逢ったばっかの女に惚れるなんておかしいって分かってんだよ、けど惚れちまったんだからどうにもならねえだろ」

「……私は平気で嘘もつくし、その私の"道"は真っ黒だ」

「俺の"道"は真っ赤だ。…だからお前にはうちの海賊団に入ってほしい、リーダ」

「さっきも言ったでしょ、私は誰の仲間にもならない」

「、なら絶対なるなよ?うちのにも、ほかの奴らの仲間にも」

「ならないって言ってるでしょ」

「もしなったら?」

「ならないからなんでもしてあげる」

「…じゃあ俺の能力盗め」

「能力?」

「早く違うとこ入ってすぐ脱団してうち入れ」

「そういうの待つタイプなんだ、無理矢理しそうなのにね」

「してやってもいいんだぜ?」

「!わっ、」





次の瞬間頭に芝生を感じて上にはゾロさん

後ろに見える真っ黒な空にゾロさんの緑はよく映えるな、なんて考えた

手に持ってたグラスは芝生に落ちてしまって中のお酒は芝生に

お酒独特の匂いが鼻を刺激する

そこでもう一度視線を目の前に戻すとものすごく悪どい顔のゾロさん

なんて楽しそうな顔してるんだ





「つかお前でもゾロさんでもねえ、ゾロって呼べよ」

「年上でしょ、たぶん?それより重い」

「いいんだよ、我慢しろ。そういや、ルフィにはキスしたんだろ?」

「人口呼吸な?」

「妬いちまうな。あとこれでも初恋だ」

「うわ、ありえない」

「どういう意味だ、コラ」

「絶対遊んでるじゃない」

「女には基本興味ねえ、うっとうしいだけだ」

「その割には慣れてるじゃない、さっきの動きとか」

「本能?」

「そりゃまたすごい本能だね。…あ、ならまだどうて「それはちげえ」どうなの、それ」

「仕方ねえだろ、男なんだから」

「まあ、そんな生き物だよね。……ん?」

「?なんだよ」





真っ暗な空に真っ白い鷹が旋回してるのを見て、ゾロを押し退け立ち上がる

するとゆっくりと降りてきて私の肩に止まった

コイツ自分の体重分かってんのかな

ものすごく重い

肩の高さ、今明らか左右違うと思う

鷹の脚にくくりつけてある手紙を取って、いつもポケットに入れてある黒い布切れを取り出した

それを脚にくくりつけて頭をひと撫ですれば、もう一度その鷹は黒い空に羽ばたいていってすぐに見えなくなる

ああ、めんどくさい





「…なんだ、今の?」

「私の海軍に預けてるペット」

「!!海軍!?」

「私に仕事を頼みたいときあれを送ってくるようなってんの。あの鷹は特殊で、自分が認めた主の匂いはどれだけ遠くても嗅ぎ分けて来てくれるんだ。それで私は了解の意味で黒い布をあれに預けてまた飛ばす」

「……やっぱり海軍とも繋がってんのか」

「そう言ってるじゃん、最初から。どう?幻滅した?」

「いーや」

「即答か。…まぁいいや、じゃあ行くね」

「!!今からか?」

「でなきゃ約束の時間には間に合わないから。きちんと情報も渡した、美味しいご飯も食べさせてもらえた、私のここでの仕事は終わった」

「行くなって言ったら?」

「そんなの知らない。私の邪魔をするなら潰して行くだけ」

「仮にも自分を想う奴にすることかよ」

「私の世界は私中心に回ってる」

「ぶはっ、そうだったな!」

「ほかの奴らにも一応礼は言っといてくれる?また次逢った時私に利益をくれるなら私は情報でも治療でもしてあげる」

「また逢えんのか?」

「ゾロが私を探したらもしかしたらね。世界は広いから」

「絶対探してやる」

「まぁがんばって、応援してる」

「…誰の仲間にもなるんじゃねえぞ」

「どっちなの一体」

「………これだけは許せよな」

「!ん、」





そう言ったかと思えば腕を引かれておでこにキスされる

ゾロの顔を見ればすごく赤い

どうやらほんとに初恋みたいだ

初恋が私なんかでいいのか

思わず可愛いな、なんて無意識に呟いてしまったら拳骨されそうに

まあ避けたけど

ゾロを一目見てからマルコの能力で腕だけ不死鳥の翼に変える

いつ見ても綺麗な炎だ

手すりに乗って手に力を入れれば簡単に私の身体は宙に浮く

真っ黒な空の中、いつもの合流場所に向かった

お酒のせいで火照った身体に、海風はさっきと違ってほんのちょっと肌寒く感じた






























黒いものってなあに

(私の心は真っ黒すぎて)
(その言葉が嬉しいとも思えなかった)












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