ふわふわり

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「うん?」





エースたちと別れた日の夜にいらない医学書とか薬は全部燃やした

その煙は暗い空高く上っていって、煙は海軍のアイツを思い出させる


その次の日、たまたま島に来ていた観光船に乗って島を出た

別にあの島を好きになったわけじゃない。でも色鮮やかなその島が小さくなっていくのを看板でただ眺める

あの島にもただ醜い人間たちがいた

でも植物たちはそんなの気にしないように成長していく

また新しい植物を見つけたから次の島で落ち着いたらまた論文みたいなのを書いて植物学のお偉いさんにでも送っとかないと


今乗ってる船は観光船だからある島に止まった

この島には遺跡とかがたくさんあるらしい

この島に少しの間滞在することも考えたけど考古学とかには全く興味がない私からしたらなんにも楽しくないから次の島に期待することにした

船にも飽きたしブラブラしてみようと思って気まぐれでちょっと船から降りてみる

本当に遺跡以外なにもなくて、途中で飽きたから適当にカフェに入ってのんびりしてれば、戻らなきゃいけない時間が近づいてきたから店を出た


船に帰る途中船がとめてある港を歩いてるとたまたま見えた浜辺

ぼーんやりと歩きながら眺めてたら海の中に人が見えた

ここは暖かいし泳いでるのかと思ってたけどどこか様子がおかしい

泳いでるっていうより、浮いてる
浮いてるっていうより…溺れてる

それと一緒に麦わら帽子も側に浮いてた

見たことある。それもつい最近





「……………あ、」





思い出した

エースの記憶のなかだ

頭に痛いくらいに流れ込んできたほど大好きで大切なエースの弟

麦わら帽子を被って眩しすぎる笑顔をエースの記憶のなかで浮かべてたエースの弟、麦わらのルフィ

最近話題になってる麦わら海賊団の船長

それを思い出した瞬間に勝手に身体は動いてた

浜辺への階段を駆け下りて少し沈む足下なんて気にしないで浜辺を走る

海に大きく飛んだ

でもその足が海につく直前で能力を使う

私から手に入れようとしたわけじゃない

こんな時に役立つなんて思ってもみなかった


私が足をつけた周辺から海が凍ってく

それからさっきみたいに走って弟くんのところまで急いで向かった

途中滑りそうになったけどそんな場合じゃない

腕が届く範囲になって能力をとく

それから弟くんの赤いベストを力一杯引っ張った

海水で力が抜けそうになる

氷の上にやっと引き上げて頬を触ればまだ温かい

まだ時間はそこまで経ってない筈。でもこのままじゃ息もしてないし必ず死ぬ


私はなにも考えずに、ただ氷の上で人工呼吸と心臓マッサージを繰り返した

何回か繰り返したところで咳き込んで、手足を動かした弟くん


そこでやっと我に返る

視界の隅に小さくなっていく観光船

あぁ、私なにやってるんだろ

見返りも、何にもないのに、気が付いたら身体が動いてた

ただエースの弟って思い出した瞬間走り出してたんだよね

あの私が珍しい


立ち上がって弟くんを見てから一つため息をつく

それから赤いベストをまた掴んで肩に担いだ

そのベストに染み込んだ海水が私の服にまた染み込んでいく

おかげでちょっと力が抜けてくのが不快

さっき作った氷の道をまた歩いて浜辺に戻る

その間ずっと弟くんは咳き込んでた


見える弟くんの足は小さい傷だらけで、さっきは気付かなかったけど血が流れてる

この傷は海王類

釣りをしてたところまさかの海王類が襲ってきて海に落ちた

そこで意識飛びそうなところを無理矢理倒してそこでブラックアウト


…………ん?

なんで分かるの?

…………………あ、


私は自分の指を引っ張ってみる

そしたら面白いくらいに伸びた


私はまたため息をつく

そこでちょうど浜辺についたから弟くんを浜辺に下ろした

持ってた傷薬を適当に弟くんに塗ってやって近くに座り込む

弟くんの記憶のなかで麦わら海賊団はとても仲いいらしいしここに寝かせておけばすぐに仲間が探しに来るだろう

…さて、私は次の船でも待つか




「ルフィ!!!!!」

「ん?」





声の方を向けば、そこには緑頭と金髪とちっさい動物

たしか、ゾロとサンジとチョッパー?だったかな

こういう意味では能力使って良かったかもしれない





「あ、きたきた」

「お前、ルフィになにしやがった?」

「…は?」

「傷だらけじゃねーか、なにしやがった!!」

「レディーになんて口ききやがる、クソマリモ!」

「私は弟くんが溺れてるところ助けただーけ」

「チョッパー、お前はルフィを診てこい。コイツは俺が相手する」

「聞いてる?ていうか私闘う気なんて全くないんだけど」

「お前はどうせ女は蹴らねーとか言うんだろ」

「当たり前だ!!俺は女は蹴らん!!」

「話聞いてくれないかな」





ゾロってやつが私に斬りかかってきたから私も愛刀で受け止める

砂浜は足場が悪いな

たしかコイツは三刀流だった筈

んで後ろのサンジ?は女は蹴らないっていう変なプライドがあるらしい

女なめてんのか

トナカイのチョッパーは麦わら海賊団の船医

刀で攻撃を受け止めながら横目でチョッパーを見れば、ルフィのところに駆け寄ってた

この船医の腕はどれくらいなんだろうね


この間もゾロさんは私への攻撃を続けてくる

それを避けながらいろいろ観察

あ、髪が切れた





「なんで攻撃してこねーんだ、なめてんのか」

「闘う気ないって言ってるじゃん」

「船長への攻撃はクルーへの攻撃と一緒に決まってんだろ!!」

「私攻撃してないし」

「うるせー!!!」





まさかの喉元突いてきたから咄嗟に能力を使う

自然系ホント羨ましい

喉元を氷に変えてやれば驚いたように目を見開かせた目の前の緑頭

そのまま微笑んでやる





「!!テメェ、能力者か」

「うん、これはヒエヒエの実だったかなー」

「は、?!」

「ごめんねー、闘う気はなかったけど君、負かさないとやめないタイプみたいだから」


「!待て、ゾロ!!!!」


「ゴムゴムの、」

「「!!」」

「銃!!!」

「!な"っ、」





試しに技をだしてみたら、スゴく驚いてるみたいだ

まぁ、当たり前か

ていうか自分の腕が伸びるの気持ち悪い

あのチョッパーって子がなにか叫んだ気がするけどまぁいいか


左手を煙に変えて、ゾロさんとサンジさんを捕まえて浜辺に押し付ける

口に砂が入って気持ち悪そうだな

サンジさんは放っておいて、ゾロさんのところに歩み寄る

明らかに悔しそうに、驚いてるみたいに私を見上げてた





「私はほーんとに助けただーけ。あとその傷は海王類さんね、私悪くない。…仲間って大切だし、いいと思うけどさ、相手はちゃんと見定めた方がいいんじゃない?」

「!!ぐっ、」


「ゾロ!!コイツは嘘ついてねーぞ!」


「あ?」

「コイツらの誤解に対してはおれが謝る!だから離してやってくれ!」

「もう襲ってこないでね?」

「ゾロ、」

「…あぁ」

「ならいいよ」





私が腕を戻すと、気だるそうに立ち上がったゾロさんとなぜか目をハートにしてるサンジさん

ちょ、怖い


改めてチョッパーくんに向き合う





「あの傷は刀とかなんかじゃねー、たぶん海王類とかの歯とかの傷だ。それに溺れてたところの応急処置も完璧、傷薬まで塗ってあってくれてた!お前、医者だろ?!それも素人じゃねー!」

「誤解が解けたならいいや。じゃあね」


「げほっ、ごほっ!」


「「「ルフィ!!!」」」

「あ、あれ?俺…」

「お前もう釣りすんな!!何回落ちりゃあ気が済むんだ!!」

「にっしっしっ、悪ぃ悪ぃ!」

「ルフィ!アイツが助けてくれたんだぞ!」

「アイツが?…おーい!待てよお前!」




私が踏み出そうとしたら後ろで咳が聞こえた

ほかの人たちが一斉に名前を呼んでるし、声も聞こえるから起き上がったらしい

生きてるんなら興味はないからそのまま進んでいこうとしたらチョッパーって子がいらないこと言った

ちょ、なに言ってんの

ていうか呼ぶな


そのまま無視して歩こうとしたら、肩をいきなり掴まれて、逃げようとした瞬間勢いよく後ろに引っ張られた

やばい、内臓でる。…いやでないけど

視界がスゴい勢いが変わって、次にはっきり見えた景色は記憶のなかにある眩しいくらいの笑みだった





「助けてくれたんだろ?ありがとな!」

「…いやいい、気が向いただけだから」

「綺麗なうえに医者なんて!!なんてパーフェクツ!!!」

「ルフィ、コイツ捕まえとけ。怪しすぎる」

「俺を助けてくれたんだぞ!?なんで怪しいんだ?!」

「能力だ。お前の技を使ってた」

「俺の技!?」

「…元々身体が伸びる体質なんだ」

「なんだ!そうなのか!」

「いや待てコラ!!」「納得してんじゃねー!!」

「くそう」

「…チョッパー、ナミとロビン呼んでこい。アイツらならなんか知ってるかもしれねー」

「え、あ、分かったぞ!」





逃げてもいいけど無駄な労力は使いたくない

別に、逃げ出せないって言ってるんじゃない

でもめんどくさい

私に不利益があった時は本気だせばいいか
































猫の気まぐれ

(なんで私助けたんだろ)















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