日だまりこまり

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『あ、翔ちゃんなら腹痛いってまた便所行ったよ』





関向くんたちの言葉に、体育館に戻ってきたばっかりの私と泉くんは廊下を走り回ることになる

薬は飲んだって言ってたのに、そんなに緊張してるのかな


にしても大会やるくらいの体育館だからやっぱり大きいな

トイレたくさんあるし





「ホント翔陽どこだろう…!!」

「今日一体何回トイレ行ったんだ、翔ちゃん」

「昔から緊張に弱いんだよね」



「勝ってコートに立つのはこの俺だ!!」




「「!!」」





角を曲がったそこには翔陽と黒髪の男の子がいた

北川第一ってジャージに書いてあるから、次の対戦相手。それも中にユニフォームが見えるからレギュラーらしい

なんだかすごく真剣な顔してる

ほんの数分の間に何があったんだ


黒髪くんがそっぽを向いて、早歩きで歩いていってしまう

翔陽も怒ったような顔をしながらこっちに歩いてきた





「早く戻ろう!!!」

「!腹痛は!?」

「どっかいった!!」

「はぁ??!」

「ほら由飴も早く戻ろう!」

「うん。………あ、」

「え?」

「ごめん、先に行ってて?すぐに戻るから!」

「ちょ、由飴!!」





さっき黒髪くんが歩いていった方にタオルが落ちてた

たぶん黒髪くんのだと思う


私は、私の手首を掴んでた翔陽の手をやんわりほどいて黒髪くんが向かった方に走った
(途中タオルを拾うのも忘れずに)

後ろから翔陽が私を呼ぶ声が聞こえたけどちょっとくらい許してほしい


すぐに黒髪くんの背中が見えた




「黒髪くん!!」

「は?」

「!あ、ごめん!!タオル落としてたよ!」

「………あ、」





私が無意識に黒髪くんって呼んじゃうと、黒髪くんは機嫌悪そうに振り向いた

それから私の言葉で首にあった筈のタオルがないことに気付いたみたい

私は駆け寄ってタオルを差し出す





「はい、もう落とさないようにね!」

「……あぁ」

「人に何かしてもらったらなんて言うの?」

「…は、?」

「だから、人に何かしてもらったりしたらなんて言うの、って聞いてるの!」

「あり、がとう……?」

「うんオッケー!じゃあお互い試合頑張ろうね!」

「……おっ、俺の名前は!!」

「え?」

「黒髪くんじゃねえ!!影山飛雄だ!」

「!私は日向由飴だよ、よろしくね、影山くん!」

「!!」

「じゃあまたあとで」





それから私は元来た道を駆ける

なんで最後驚いてたんだろう





「ま、いっか!」





早く行かないと遅れちゃう










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