日だまりこまり

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「とうとう来たね……!」

「うん!!」





あれから時間が経って中学3年生の冬

翔陽と私は市民体育館にいた



翔陽はバレー部。私はそのマネージャー

いつか見た烏野高校の"小さな巨人"に憧れて中学ではバレー部に入った翔陽

けれど部員は翔陽と私の2人で、最初は愛好会からだった

体育館の隅で一緒にレシーブとかの練習したり、女子バレーが休みの時とかロードワークの時は私がトスをあげてスパイクを打ったり

私がいない時はバスケ部の泉くんとかサッカー部の関向くんに迷惑かけちゃった時もあったみたいだ

私がいつもいるからか女子バレー部の一員だと思われたりもした

でも翔陽は諦めずに練習してたら、3年生の時に1年生が初心者だけど3人入ってきてくれて2人ですごく喜んだのは昨日のことみたい

それから1年間5人(たまに+2人)で一生懸命練習した

私もトスを上げたり、できる限りのことはしたつもり

でも私は翔陽まで運動神経良くないから役に立てたかは正直分かんない

でも決まって翔陽はこう言ってくれる




『由飴が側にいてくれてるだけで嬉しいのに、練習手伝ってくれるなんてすごく嬉しいから!!』




ホントに昔からほしい言葉をくれる





「エアーサロンパスのにおいっ………!!」

「エアーサロンパス?」

「翔ちゃん緊張しすぎじゃない?」

「だ、だってちゃんとした大会初めてだから…!」

「ちゃんと渡した精神安定剤飲んだ、翔陽?」

「うん!」

「でもホントよく出場まで漕ぎつけたよな…」

「由飴が頑張ってくれたから」

「え、私?」

「うん!由飴がバレー部のちらしとか配ってくれたり勧誘頑張ってくれたじゃん!」

「んーん、翔陽の方が頑張ってた」

「いや由飴の方「分かった分かった」へ?」

「んな堂々いちゃつくな、泣きたくなる」

「はあ?!」「え?」

「ちょっ、イズミン!!!」

「おら大事な後輩たち困ってるから指示出してやれよ、デレデレ翔ちゃん」

「デレデレしてない!!!…やっと出られた大会、出るからには勝つぞ……!!」

「エ"、この即席素人チームで勝つつもりなの……?!」

「当たり前だろ!!?」

「「((どっから来るんだその強気……))」」

「…イズミンもコージーも、助っ人来てくれてありがとう!」





3人を見ながら青春だなあって思った

私たち女子には味わえない少し違った青春

羨ましい


私は少し緊張してる1年生のところに走り寄る





「緊張してる?」

「!!え、はい、少し……!」

「ほら深呼吸!緊張するのは当たり前、しない方がおかしいから。でもその緊張がいい方に効果を出すか悪い方に出すか川島くんたち次第!」

「!!はいっ」

「でも俺たちまだ初心者で、」

「初心者とか関係ないよ。ただ一生懸命いこ!ベンチからだけど応援してる」

「が、がんばります…!!」

「じゃあちょっとドリンクの用意してくる!翔陽たちに伝えておいてくれるかな?」

「分かりました」





私はボトルと粉を持って体育館から出る


たしか水飲み場は……、…どこだろう

見渡す限り水飲み場は見えない

探して迷って時間をかけるわけにはいかないし

…人に聞くしかないか





「あ、あのっ!」

「あ"ぁ?」

「ひっ、」

「!!あ、ごめん!ちょ、田中!!」

「…………」

「田中固まってるな。…どうしたの?」

「すみません、水飲み場ってどこにあるか分かりますか?」

「水飲み場ならあそこの角を右に曲がったらすぐ見えるよ」

「そうなんですか!ありがとうございます!」

「マネージャーかな?」

「はい、ドリンクを、」

「そっか。頑張れよ」

「はい!」

「…しっ、しし試合頑張れ!!!!」

「え、あ、はい!」





見る限り高校生の先輩

弟とかがいるのかな


泣きぼくろがあって茶髪っぽい髪をした人に、黒い短髪で優しそうな人。あとは……スキンヘッドで怖い人

途中固まってたけど最後は応援してくれたからいい人だと思う。……たぶん





「!!早くしないと…!!」





どうせならその『がんばれ』、マネージャーの私にじゃなくて翔陽に言ってあげてほしかったな

































日だまり太陽

(ちょ、今の子すげー可愛くなかったッスか!!?)
(田中あからさますぎ)








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