おさるのマーチ
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「おい、なまえ、本当にできるようになるのか、これ」
「できるまでやるんだよ」
あれから王宮の宝物庫に保管されていたポッドとほかのお宝を回収した
ポッドは1人用だし、当初予定してた通りヤードラットに行きたいんだけれどもこの星の宇宙船を盗るにしてもこの星の技術じゃここからヤードラットには1ヶ月もかかるし
結果選んだのは、久しぶりに瞬間移動を使うことだった
私のポッドは見た目はサイヤ人が使う1人用の丸いポッドだけれども、どこかの星の技術で中の空間を少し歪ませていて、中には台所やお風呂や寝室とか、人1人なら余裕で住むことができるようにしてる
回復用ポッドなんかも置いてるか
長旅がほとんどなんだしその期間を苦痛に過ごすのは嫌だと思って、交換するお宝は多かったけれども優先して改造してもらった
まあ発着時の重力に耐えるための椅子は一つしかないからこれだけ広くても1人しか旅はできないんだけど
まずポッドを覗き込んだ時に驚いたターレス
そりゃそうだろう、あんなポッドの中にあんな部屋みたいな空間が広がってるなんてまず思わない
ポッドの中とポッドの周りを何度も何度も見直して、私の方に振り返った
神精樹の実の副作用かなにかかと思ったのかな
そのきょとんとした顔はカカロットに似ていて、思わず抑えた口から笑い声が漏れる
それから、幻覚じゃなくてそういう風に改造していることを伝えれば、理解が追いついてないながらに納得してくれた
次に驚いてたのは私の宝物庫だ
今回のお宝は小さかったけれど、星々によっては私の身長の何倍も何十倍もあるお宝もある
例えば、珍しい宝石を使った銅像だったり、一生劣化しないその星の生き物の骨だったり
むしろ私のポッドの入口からじゃ入らないものの方が多いのだ
そんな時に交換できたのがこれ
柄の先に金色のドアノブがついてるナイフ
壁でも床でもそこらへんに転がっている岩でもなんでもいい
それに、欲しい扉の大きさをイメージしながらその大きさの扉を描くようにナイフで傷をつけて、最後にその傷をつけた範囲の中にナイフを刺せば終わりだ
後は、扉を開けるようにそのドアノブを回せば、傷をつけたところが本当に扉みたいに開いて四次元空間のお出まし
そこにぽいと放り込めば、いつでも欲しい時に取り出せる
一応ポッド内のクローゼットの扉と繋がってていつでも開けれるし、そのナイフを抜くともう二度とその扉は使えなくなるから、違うドアノブを刺しても私の宝物庫には繋がらない
なんて完璧なんだろう
もう仲間と認めたわけだし、それをターレスに見せれば、口をあんぐりと開けて驚いてくれた
それから、少し間をあけてから笑って、さすが私だと褒めてくれる
私の周りに集まる人は、私に過度な期待を持ちすぎているような気がする
そんなこんなで、星を離れる準備が出来て、ポッドの近くに立つ
ターレスは、次の目的地やら、移動手段やらを疑問に思ってるらしいながらも、私が何も言わないから、何も聞かない
よくできたやつだ
左手でポッドに触れて、そのポッドに触れるようターレスにも促す
それから右手は私の額に当てて、ヤードラットの気を、この広い宇宙の中から探し出すように探っていけば、案外すぐに見つかってくれた
そうして、瞬間移動を使えば、すぐに目の前の景色から懐かしい風景に変わる
ターレスは今度こそ驚きすぎて声も出ないみたいだ
私の気を知ってるヤードラット人たちがすぐに家から飛び出てきた
ターレスは本当に何が何か分かってないみたいで、気弾を撃とうと構えるから、それを手で制して、ヤードラット星人にひらひらと手を振る
「おい、なまえ、さすがに説明してくれ」
「うふふ、そうだね、そろそろ意地悪はやめようかな。ここはヤードラット星っていって、この星で私は瞬間移動を身に付けたの」
「瞬間移動?・・・この移動のことか」
「そうそう、便利でしょう?私は久しぶりの休暇がてらに、ターレスには修行にもってこいかなって。ターレス弱すぎるから」
久しぶりの私に、嬉しそうにヤードラット星人達が声をかけてくれたり、抱きついてきたりと各々の反応を見せてくれる
さすがに、星々の言語を全て覚えるのは無理だから、全ての言語を瞬時に私が分かる言語に変えてくれるからスカウターは便利だ
だから、気を感じとれるようになっても付けているけど、このスカウター便利すぎないかな
まあ、少し過ごしたからここの言語はある程度分かるけど
そんな彼らに、ターレスは新しく出来た仲間であることを伝えて、彼にも同じように瞬間移動を教えてくれるように頼む
もちろん、前と同じようにありったけの食料は準備することを伝えれば、すぐに了承を得ることができた
そんなこんなで数週間が経ったけれども、ターレスはまだ気を掴むことに苦戦しているみたいだ
私はと言えば、きままにヤードラット星人達の力仕事を手伝いしてみたりたまに近くの星に交換しに行ってみたり、ターレスの修行を眺めていたり
今はご飯休憩みたいで、ヤードラット星人に与えられた課題達成のために畑の傍に座り込んで練習してるターレス
近くの星で交換してきた食べ物をターレスの方にぽいと放り投げる
「私は、感覚的に掴むのは早い方だと思うし、ターレットは何がだめなのかは分かるよ。けど、ならどうすればいい代替案とかは分からないし、伝え方がストレートだから傷つくと思うし、教えるのは向かないの。それに比べて、ここのヤードラット星人達はそういうことに長けてるから、頑張ってね」
「・・・人に教えを乞うのは慣れてねえ」
「サイヤ人だものね。私もそうだったし、全部戦闘の中で学んできたつもりだったけど、やっぱり学べないものはあるしそれでまだ高みに昇れるなら私はいくらでも教えを乞うよ。少しずつでいい、まずヤードラットの皆を1人も殺さずに数週間も教われること自体が、今まで生きてきた遍歴も加えてサイヤ人としてよくやってる」
「本当に、人を誑かすのがうまいな」
「これでも長女だから人を使うのが上手いの。・・・褒美になるかは分からないけれど、この課題が終わったら実戦経験も積みたいし息抜きに組手と近くの星を侵略しようか」
「!早く課題を終わらせてやるから待っとけ!」
私が放り投げた食べ物を口いっぱいに詰め込んで、また集中し始めたターレス
言い出した私が言うのもなんだけど、ご褒美になるの、これ?
そうと決まれば、いつもの星に宇宙船持って行って、宇宙船二人用に改造しないと
うーーーーーーーーーーん
まーたぼったくられるんだろうけど、腕はたしかなんだよなぁ
急に胸元に入れてる通信機が振動しだして、思わず体をびくりと揺らしてしまう
ターレスもそんな私を見て驚いたみたいだ
振動してるこれは、ラディッツに渡した通信機だ
ラディッツに何かあったのかもしれない
すぐさま通信機を取り出して、ボタンを押す
転機
(どうしたの、ラディッツ)