狩人

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ここで、数奇な女子«おなご»の話をしようと思う

それは、神なる人のひとつの過ちから始まった





どこかのありふれた世界

ほかの世界に比べれば、ほんの少しだけ平和な世界



星の一生を数多と見ることが出来たほど、果てしない悠久を過ごしてきた神様がいた

そんな神様の最近の娯楽は、自分以外の世界を覗いてみること

ついこの前までは自分の世界の人間に、体内エネルギーを使う術を与えてみて、その発展を欠伸をしなから見ていることであった

それにも飽きはて、次は自分の世界にどんなことをしてみようかというアイデア探しのためでもあったらしい

星の数ほどある世界の空にすこーし針を刺して覗いてみるのだ


そんな神様が本当の偶然、小さな穴からそんな世界を覗いてみた

自分の世界とは違う世界に、少し興味が湧いた程度

そこは人間達が色々な言語を話し、やはり争いが絶えない世界であった

少し前まであった微塵の興味は、急激に冷えきっていく


元の世界に戻ろうとしたときのことだった

本当に一瞬、されど一瞬

視界に入った瞬間、その赤子しか目に入らなくなった

自分の世界では見たことのない美しさ

単純に輝いて見えた


気がつけば、時間の許す限りその女子を見守り続けた

どうやら名前はなまえ、気付けば齢は20歳

その美貌から、こんな自分が畏れおおいと話し相手すらままならないらしい

可愛そうななまえ

愛おしいなまえ

けれども、彼女はその世界を生き、両親も深く彼女を愛している

彼女は幸せに生きている

ただ見守るだけでよかったのだ



しかしついにある時、ふと願ってしまった


きっかけはなまえの両親の死

不幸にも交通事故であった

認知機能が低下した老人の運転する暴走車にはねられて即死

なまえは絶望のふちに追い込まれた

そんな時、ふと考えたのだ


彼女が我の世界に来たらいいのに


否、願ったというよりは、ある昼頃の独り言のように、誰に届けようとするのでもなく口からほろりと溢れでた言葉のようであった

神様の願いは絶対

口から出たその言葉の意味を理解した瞬間、すぐさま後悔した

目の前から一瞬にして消えた女子

その消えた先は自分の世界であるということは言うまでもなかった

そして透けていく自分の身体


人間が世界を渡ることなどご法度中のご法度

不老不死ではあるが、ご法度を犯した神は消えてしまう

例には漏れず、その神様は消えなければならない

呆気なく中心から透けていく自分をはたと見下ろしながら想う


嗚呼、これからの彼女を見れなくなることが惜しい

どうか彼女が幸せでありますように

彼女を最期に見たかった、自分に笑いかけてほしかった


そこで神様の意識はぷつんと途切れた

まるで最初からなにも無かったように透けて消えてなくなった神様

最期まで想うことは、その一生ともいえる悠久の時の中の刹那で出逢った女子のことであった























「お主、名はなんというんじゃ?」



「ねえ、なまえ、なまえはずっとここにいるんでしょ?」



「お前はこんな世界で俺たちを照らす光なんだ、っいかないで、死なないでくれ、なまえ...!!」



「ああ、なまえいいよ...、こんなに興奮したの、僕初めてだ」


























「...あれ?ここはどこだろう」





物語の幕はかくして切られたのであった










プロローグ

(はて、何度目の幕が上がったのだろうか)






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