おさるのマーチ
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気がつけば7年の月日が経っていた
銀河をいくつも渡って、あらゆる星を侵略した
もちろん何度も死にかけたけども、途中で偶然出会ったフリーザ軍の奴らの宇宙船を奪って、それについていた回復用ポッドでなんとか生き延びることができたから私は幸運だ
サイヤ人は死の淵から蘇れば蘇るほど強くなる
おかげで死線をくぐるたびに強くなれた
あと、星々で環境条件も違うから、それもまた良いトレーニングになったと思う
最初の星みたいに酸素が薄かったり、星の住人が水中でしか生きられないから水中に潜り続けなければならなかったり
最初の星くらいならもう半日も侵略するのにかからないだろう
星々のお宝を奪いながら侵略していたら、途中から侵略の為じゃなく宝交換のために星に立ち寄ったりもするようになった
まるでただの服なのに、衝撃を加えれば鋼のように硬くなる服だとか、鞄の中は4次元でいつでも好きなものを取り出せる鞄とか、宇宙は広くて、いろんな星の技術があることを知ることができた
その合間にサイヤ人についての情報収集も忘れない
どうやら、惑星ベジータは突然星が爆発してしまったらしい
聞いた時は胸が痛くなって、身体の芯から冷たくなっていくような感じがした
分かっていたことだけれども、改めて聞いてみると絶望とかいろんなものが頭に浮かぶ
けれども、そのしがらみをいつまでも胸に留めていくわけにもいかないのだ
同時に、幸運にも数人は生き残っているらしく、今はフリーザ軍にいるらしい情報も知った
サイヤ人に執着はあまりないけれども、知り合いなら嬉しいから旅の合間の情報収集は続けていくことにする
私はなんのために旅をして、なんのために強くなっているんだろうと、何度も疑問には思ったけれど、戦闘民族の私には、闘うことこそが生きる意味なんだと1人で納得した
その途中で、他にも目的が見つかればいいなあと思いながら旅をする
ある時は、おかしな能力をもった星に、それを習いに行くこともあった
ヤードラット星と呼ばれていて、瞬時に違う場所に移動できたりするらしい
その星は最近通った彗星の磁力やらの関係で食糧難だと聞いたから、ありったけの食糧を近くの星で買って、それと交換に移動方法を教えてくれるように頼みに行った
着いた瞬間兵士に囲まれたのは記憶に新しい
わけを話すと、怪訝そうにしていたヤードラット人も、食糧難には代えられなかったらしく引き受けてくれることに
そして、教えてもらいながら一緒に過ごすうちに害がないと分かるとすぐに仲間のように接してくれた
私が言うのもなんだけど、危機感がなさすぎないかな
滅ぼして、無理やり教えてもらうのも良かったんだけど、教えてもらう立場でそれをするのは気が引けた
ただの気まぐれってやつだ
そこで初めて気っていうものの存在を知ることに
たしかに常時フルパワーだったら燃費も悪いわ
瞬間移動とかなによりも、それを感じたりコントロールすることのほうが私にとっては難関だった、絶対
けれども、感じ始めれば早くて、すぐにモノになった
本当にあの苦労はなんだったんだと思うくらいには
一緒に過ごすうちに、多少なりとも情は湧いたから、星を発つ時にある星で奪った、どれだけ銀河を跨いでもセットになってる片方の機器には必ず繋がる通信機器を渡した
そしてもしこの星に危険があればこれで教えるようにと伝えると、何度もあの大きな頭を嬉しそうに振っていたヤードラット星人
瞬間移動も使えるようになったから、たまには寄ってもいいかもしれないとは思える星に
それでも、宇宙船での旅は割と気に入ってたから、そのまま宇宙船で旅を続ける
これはつい最近のことだ
いつも通り適当に星を侵略していた時、偶然フリーザ軍に鉢合わせた
幹部とかじゃなくて、ただの平隊員
戦闘力なんてこれっぽっちだ
そいつらはゆらゆらと揺れるしっぽを見てサイヤ人だと気づいたらしい
なにをそんなに勘違いしているのか、自分たちがフリーザ軍だから強くなったと思っているらしく、そいつらは指をさして私を笑った
それから、大声で、惑星ベジータは、サイヤ人は、フリーザによって滅ぼされたことを話し始めた
突然の爆発ではなくて、フリーザがサイヤ人を収集して、星を爆発させて、根絶やしにした
私達が、なにをしたっていうんだ
圧倒的な力で、従うことしかできずに、扱き使われていた父さん達
そんな父さん達を
なんで私達がこんなちっぽけな奴らに笑われなくちゃならない
目の前で笑う奴らに、今まで感じたことがない程怒りを感じる
気がつけば、目の前の奴らを木っ端微塵にしていた
今までにないほど気が高まってる
ふと近くにあった水面に写った私を見てみると、髪の毛が金色にになっていた
目の色も澄んだ青に変わってる
私達の星に伝わる伝説のスーパーサイヤ人が頭に浮かんだ
まさか、おとぎ話の中だけの存在だと思ってたけど本当の話だったなんて
千年に一人現れる、純粋に破壊と殺戮を好む最強の戦士
たしかに、そうかもしれないなあ
フリーザは宇宙を飛び回っていて、母船には私もまだ会ったことがない
何がなんでも復讐を成し遂げようだとかそんなことは考えてない
けど、もし見つけた時は、絶対にぶっ殺してやる
そんなこんなで、更に力を手に入れて、自由自在にスーパーサイヤ人にもなれるようになった頃
ある星を侵略していると、懐かしいような気を感じた
もう星の侵略は大方終わっているし、気になったから見に行ってみることにする
気を最小限にして気を感じた場所に向かうと、見慣れたポッド3つがクレーターを作ってぷすぷすと煙をあげながら着陸していた
そこから出てきたのはやっぱり見慣れた3人だ
気づいた時には体が動いてた
クレーターを飛び降りて、すとんと3人の前に降り立つと、戦闘態勢に入った3人
しっぽが嬉しくて揺れてしまう
自分でもまだこんなに優しげな声が出るのかと驚いた
「ラディッツ、」
「!!!姉さん!?いや、そんなはず、姉さんは死ん、」
髪を掴んでその辺の岩場に放り投げてやる
誰だ、私は死んだとか言ったやつは
投げた岩場の方から、「この投げ方は間違いなく姉さんだ!!!!!」とか聞こえるけど、もっとほかにあったでしょ
それから、改めて2人を見てみると、やっぱりナッパの髪の毛は無くなっていた
ベジータはそんなに変わってない、ただ身長が伸びただけ
2人共驚いたような顔をしてる
「なまえじゃねえか!!!!生きてたのか!!!!!!」
「私、死んだことになってたの?」
「そりゃ、あの星の大爆発に巻き込まれたなら生きてるとは思わねえだろ!」
「あー、それはたしかに」
「・・・・・・ふん、生きてやがったのか」
「もっと喜べよベジータ!あれだけ聞いた時は泣きそうな顔してたのによ!」
「!そんなわけないだろう、とぼけたことをぬかすな」
「姉さん!どうやって生き延びたんだ?今までどうしてたんだ!」
クレーターに座り込んで、これまでの話を3人にする
父さんが逃がしてくれたこと、今まで侵略しながら生きてきたこと
この星へは3人で侵略しに来たらしい
サイヤ人が3人もいるような星だったろうか
聞き終わると、ナッパが私の頭をくしゃくしゃと撫でた
この星は砂漠がほとんどだから、髪がぱしぱしする
胸があつくなった
「じゃあカカロットも生きてやがるのか?」
「たぶんね」
「捜し出して、仲間にでもするか?」
「下級戦士だろう、そいつは。戦闘力にならん」
「そんなこと言うなよ、ベジータ。せっかく数少ないサイヤ人の生き残りなんだ、それに俺となまえの弟だ、見込みはある」
「ふん、そのなまえの戦闘力も虫けら以下じゃないか。よくそんな戦闘力でこの宇宙を生きてこれたな」
「弱虫ラディッツと昔は強かったなまえの弟、たしかに期待はできねえな!もし、来ねえならその星もカカロットも滅ばしちまえばいい!」
「!!おい、姉さんの前で俺たちを馬鹿にするんじゃねえ!」
「だれが、だれを滅ぼすって?」
家族を馬鹿にされると歯止めがきかなくなるところはそろそろなおさないといけない
立ち上がって、最小限にしていた気を高める
今できる私の最大限のパワー
だんだんと周りの岩が震えだして、地響きまでしてきた
最大限に高めてから、最後にスーパーサイヤ人になってやる
私を中心に吹き荒れる突風に吹き飛ばされないようになんとか踏ん張る3人
いつのまにかスカウターも爆発したみたい
にっこりと微笑んで足元の岩を踏みつぶす
ラディッツは昔を思い出したのか、ひいっと情けない声を出した
「ラディッツを次馬鹿にしたり、カカロットのいる星を滅ぼしたりしてみろ、お前らの頭もこの岩みたく踏み潰してやる」
この表情を見る限り、私の戦闘力ははちゃめちゃらしい
現在
(え、これ、フリーザ超えてねえか?)