short story

□pi giovane di
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「早乙女学園ってどんなところなの?」

「え?早乙女学園…ですか?」


唐突に、美風先輩は質問してきた。


「うん。知識としては知ってるけど、実際どんなところなのかなって思ってね。学校自体、行ったことないし…」

「なら、少し見学してみませんか?多分社長に頼めば喜んで見学させてくださると思うのですが…」

「うーん…どうせなら学生気分ってのを味わってみたいんだけど……」

すると先輩は少し考えて…


「あ、そうだ。春歌、早乙女学園の制服着てみてよ」

「へ?あ、はい…って、ええぇ!?」


とんでもないことを言ってきたのだった。



 ◆ 


そして、今。

私たちは早乙女学園の制服を着て、学園に潜入している。

今日は日曜日だったので、生徒も誰もいない。

「ふーん…実際はこんな風なんだ……」

何時もより少し楽しそうな声で、興味津々に学園内を見て回る美風先輩は、まるで子供のようだった。

先輩は四ノ宮さんの制服を借りたらしく、少し大きめの袖を振りながら上機嫌に歩いていた。

「あ、ここが春歌がいた教室?」

「はい。私はAクラスだったので」

入ってみようか。と先輩はドアを開ける。

入ってみると、懐かしき教室の風景。

「ここで、春歌は授業を受けて、曲を作って、ST☆RISHと出会って、卒業したんだね…」

「はい…。懐かしいです……」

沢山の思い出がつまった教室。

ほんの二年前までは、ここで授業を受けていたのだ。

「ねぇ春歌、」

「何ですか?」

「もし、ここが普通の高校だったら、春歌が先輩で、ボクが後輩になるよね」

「そうですね…私が三年生で、美風先輩は一年生ですね」

すると先輩は少し私に顔を近づけて、

「ボクは後輩ですよ?゙春歌先輩"」

「っ!!…そ、そうだね、あ…藍くん…」

私が必死にそう答えると、さらに近づいてきた。

「ねぇ春歌…もしこんな風に、ボクらが学校で先輩と後輩として出会っていたら……春歌はボクを好きになってくれた?」

少し不安そうな声で、美風先輩はそう聞いてきた。

「……そんなの、当たり前じゃないですか。…私はどんな出会い方をしても、必ず美風先輩に恋をします」

そう言うと先輩はふっと微笑んで…


「好きです、春歌先輩。ずっと、出会った頃から好きでした。」

「…私も、藍くんの事が大好きです。」


そうして、どちらからともなくキスをする。


「恋愛禁止…だよ藍くん…これじゃあ二人とも退学だよ?」

「そんなの、見つからなければいいんですよ春歌先輩」

実際、今だってそうじゃない?と、妖艶に微笑む藍くん。

その笑顔が、外からの光に照らされて、美しく煌めいていた。


そうして、誰もいない学園の教室で二人、何度も何度もキスをしあう。

「ん……は……誰かに、見られるかもしれませんよ……藍く…っ」

「んっ……見られたって、ボクらは生徒じゃないし……大丈夫だよ……ん」

誰か来るかもしれないという恐怖感が、逆に癖になりそうだった。

「ねぇ春歌」

「はい…」

「もし、ボクが後輩で恋人だったら、今みたいにキスしてくれた?」

「ふふ……当たり前ですよ、藍くん」


そう言って、かわいい後輩の不安を消すように、私は自分から彼にキスをした。


 ◆ 


「今日は楽しめましたか美風先輩?」

「うん、いろいろ分かったし、何となくだけど学生気分ってのを味わえたよ」

夕日が、二人の影を大きく、濃く、映し出す。

ゆらゆらと、私たちが歩くのに合わせて、くっつきそうになったり離れていったりを繰り返す。

「ふふ…それは良かったですね美風先輩」

「ねぇ、春歌。もう、゙藍くん"って呼んでくれないの?」

「ふぇぇ!?」

小さい方の影が、大きく揺れる。

「さっきは呼んでくれたのに…。ねぇ、もう一度呼んでよ春歌」

「え……あ…、藍…くん…」

「クスっ……よくできました」



『ちゅっ』と音がして、二人の影がしっかりと重なり合って、アスファルトに映し出されたのだった。





end



初めてほのぼの書いた……っ!!!!

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